ストック型援助とフロー型援助

フロー型援助の問題点
 現在の日本の政府開発援助(ODA)の一般会計予算規模(政府原案)は約6,200億円で、24年前の水準に戻っています。単純に考えれば、日本の国力が24年前の水準に戻ったような感じを受けますね。果たしてこの水準でよいのか。国益としての政府開発援助を考えた場合、海外のあちこちで、国益確保で支障が発生するように思うんです。

 しかし、この際、国民の信義を受けてODAを運営してきた側にも深く反省してもらわなければ困ります。皆さんはストックとフローという意味をご存知だと思います。ストックは蓄財、貯金で、フローは流動資金のようなものですね。日本の政府開発援助はどっちだと思いますか。実は、基本的にフロー型なのです。次々と援助しては相手に渡していくが、それで関係は終わりで、フォローアップして良い関係(人脈形成)を維持することは極めて少ない。

国家事業としての援助
 技術協力プロジェクトでも基本的に5年をもって相手に引き渡し、それでその国への援助は完了ということになり、地元の人も日本の援助だとは知らない状況のなかで援助案件がバラ撒かれてきたといっても過言ではないと思いますよ。これを「一丁上がり世界」というわけです。
援助は確かに相手を助けるという目的のために行っていますが、日本の納税者から見ると、何らかの形でフォローアップして、日本との友好関係、日本人との友人関係を維持できるような工夫が必要だと思うんですね。「あげっぱなし」では国民の目から見ると、税金のムダ遣いのように見えるでしょうね。
 そこで、提案したいのが「ストック型援助」です。次々と援助される案件ももう少し集約して、選択と集中で、将来へわたって国益の貯金になるような援助を展開し、税金の有効活用を図って欲しいと願うのは、今や国民の常識ではないでしょうか。NGO活動と異なり、国家事業としての政府開発援助には、そういう視点があって当然ではないでしょうか。