2022年度JICAコンサルタント等契約実績と受注トップ50(特別記事)

 

契約総額は446件・428億3,300万円
「開発効果の最大化」を目指し調達改革進む

 2022年度の国際協力機構(JICA)コンサルタント等契約実績は、件数で前年度比22.3%減の446件、金額ベースでは38.5%減の428億3,300万円となった。コロナ禍の中、新規案件の形成が積極的に進められたこともあり、2022年度はその取り組みが一段落した印象だ。契約状況と特徴、さらに開発インパクトを高めるため、JICAが進める調達改革の動きを追った。
※記事中のグラフ、表はJICAからの提供資料を基に本誌が作成

業務実施契約は406億3,600万円

 JICAのコンサルタント等契約実績は、予算的には「運営費交付金」による一般勘定と有償勘定分の合計における契約実績である。このため相手国政府・機関などが施主となる無償資金協力の施工監理業務や円借款事業のコンサルティング・サービス部門などの実績、また研修コースの運営業務など委託契約ベースの実績はカウントされていない。
2022年度のコンサルタント契約実績は446件・428億3,300万円。前年度に比べ、件数で22.3%減、金額ベースで38.5%の減少。

 契約形態別には、JICA調査団に参団する専門人材、技術協力プロジェクト(以下、技プロ)の技術協力専門家、アドバイザーなどの個別専門家を派遣する役務提供型の業務実施契約(単独型)は214件・21億9,700万円。件数が5.9%増、金額は14.4%減。また、技術協力プロジェクトや開発計画調査型技術協力などの実施・運営業務、無償資金協力や円借款の協力準備調査、詳細設計(D/D)、さらに情報収集・確認調査など、いわば契約の主力となる業務実施契約は総額232件・406億3,600万円の実績となった。前年度対比では件数で37.6%減、金額ベースで39.4%の減少である。

 承知のとおり、JICAは2019年度から継続案件については期分けした契約の第2期目以降のカウントを取りやめ、通期全体の金額を新規案件として計上する形に変更しており、2022年度は前年度に比べ新規契約が減少している。

 JICA調達・派遣業務部によると、コロナ禍に覆われた2020年度、21年度と積極的な案件実施方針が打ち出され、一方でポストコロナを睨みながら新規案件の形成に注力したとのことで、2022年度はその継続案件が多かったと言えよう。

 1件当たりの平均金額は業務実施契約(単独型)で1,030万円、業務実施契約で1億7,520万円。ここ10年間の推移では、単独型で3番目、業務実施契約で4番目に高い金額になっている。

多様なパートナーとの連携強化

 業務実施契約における金額階層別実績では、「0.1億円未満」7件、「0.1億円以上0.5億円未満」49件、「0.5億円以上1億円未満」44件、「1億円以上1.5億円未満」32件、「1.5億円以上」100件の推移。割合で見ると「1.5億円以上」が40%以上を占め、2013年度からの10年間では最も高い比率だ。

 JICAでは開発効果の最大化を目指し、クラスターを用いた協力アプローチを重視しており、また、共通の開発課題を持つ複数の国々を対象とした案件発注も議論されている。調達・派遣業務部計画・調整課の鶴岡紀之課長は「開発インパクトをどう高めていくか。この観点から案件単体、スキーム単体で考えるのではなく、効果的な連携や組み合わせを検討し、開発効果の最大化を目指していく必要がある」と話す。

 そのためには、やはり優れた技術者の業務量(人月)拡大が求められるところであり、技プロなど案件によっては大型化(受注金額の増大)が進展していこう。

 業務実施契約の新規232件における単独および共同企業体(JV)の組成状況(継続契約除く)では、「単独」92件(構成比40%)、「2社JV」88件(38%)、「3社JV」41件(18%)、「4社以上JV」11件(5%)の推移。ここ数年の構成比と比べると単独受注の割合が若干減少しているものの、全体的には大きな変化は見られない。

 2022年度コンサルタント契約実績446件における受注者数は168社(者)。このうち業務実施契約232件における受注者は124社(者)で、単独受注法人は49社、JV代表者法人61社、JV構成員法人80社という構成である。(複数契約している場合は重複カウント)JICA事業に参画するパートナーの裾野拡大は、引き続き大切なテーマになっており、特に今後は開発インパクトを狙った共創型の案件形成に可能性が広がっており、JICAでは開発コンサルタントを軸に、民間企業、大学・研究機関、NGOなど新たなパートナー拡大に注力している。2012年度から実施されている民間企業の海外展開支援事業などを通し、全国の中小企業とJICAの関係は深まっており、ユニークな技術やサービスなどを導入したODA案件化の取り組みも続いている。スタートアップも視野に入れた全国の中小企業などは裾野拡大の貴重なリソースになるだろう。地方自治体とのさらなる連携強化も必要かもしれない。

 「パートナーの拡大は共創を進める上で重要。多様な開発ニーズに対応していくためにも、JICA業務の英文化や情報セキュリティ体制を整えることが条件だが、積極的に海外にも目を向けパートナーを発掘していきたい」(鶴岡課長)としている。

 

(表1)2022年度 コンサルタント別【単独受注】上位50社
NO コンサルタント名業務実施
契約
(件)
業務実施
契約
(単独型)(件)
概算
受注額
(億円)
1日本工営(株)11919.86
2(株)フジタプランニング3516.97
3(株)コーエイリサーチ&コンサルティング449.85
4国際航業(株)337.72
5(株)かいはつマネジメント・コンサルティング336.76
6アイ・シー・ネット(株)495.88
7アクセンチュア(株)105.67
8八千代エンジニヤリング(株)245.05
9(株)パクサ104.01
10(公財)結核予防会103.5
11(株)三祐コンサルタンツ113.47
12(株)日本開発サービス633.38
13(株)オリエンタルコンサルタンツグローバル422.96
14(有)アイエムジー232.88
15(株)エイト日本技術開発202.8
16(株)アジア共同設計コンサルタント132.58
17有限責任監査法人トーマツ202.49
18三井造船特機エンジニアリング(株)102.44
19(株)JIN162.38
20(一社)海外環境協力センター122.38
21アスカ・ワールド・コンサルタント(株)112.28
22(一財)海上災害防止センター102.22
23(株)パデコ201.71
24(株)リロエクセル101.68
25(株)国際開発センター161.58
26水産エンジニアリング(株)211.49
27インテムコンサルティング(株)141.3
28NTCインターナショナル(株)221.22
29OPMAC(株)341.14
30(一財)日本国際協力システム211.08
31(一財)国際開発機構231.05
32OAFIC(株)200.97
33(株)地球システム科学120.85
34(一社)一橋大学コラボレーション・センター100.78
35合同会社適材適所0150.66
36(株)アルメックVPI150.65
37(株)ワールド・ビジネス・アソシエイツ040.64
38ユニコインターナショナル(株)110.6
39オクタヴィアジャパン(株)200.57
40(特活)アジア科学教育経済発展機構100.54
41(株)アールディーアイ020.53
42(一財)NHKインターナショナル100.47
43(株)NJS110.46
44(株)建設技研インターナショナル130.44
45(一財)国際臨海開発研究センター130.41
46(株)片平エンジニアリング・インターナショナル120.41
47(株)シーエスジェイ010.4
48(株)レックス・インターナショナル050.4
49(株)クニエ100.4
50基軸コンサルティング(株)010.39
(表2)2022年度JICA コンサルタント別【JV代表者受注】上位50社
NO代表コンサルタント名件数JV合計額(概算)
(億円)
1日本工営(株)2250.64
2(株)オリエンタルコンサルタンツグローバル1328.11
3(一財)国際臨海開発研究センター313.49
4アイ・シー・ネット(株)312.22
5(株)建設技研インターナショナル611.16
6八千代エンジニヤリング(株)911.05
7有限責任あずさ監査法人210.74
8(株)コーエイリサーチ&コンサルティング49.93
9パシフィックコンサルタンツ(株)38.65
10(株)ドリームインキュベータ27.05
11国際航業(株)36.85
12(株)数理計画26.36
13インテムコンサルティング(株)46.28
14東電設計(株)25.31
15(株)アースアンドヒューマンコーポレーション14.74
16(株)日本開発サービス14.63
17(株)エックス都市研究所24.45
18(株)片平エンジニアリング・インターナショナル44.41
19日本コンサルタンツ(株)14.24
20デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社24.14
21OAFIC(株)14.14
22NTCインターナショナル(株)13.92
23(株)三祐コンサルタンツ33.61
24(株)Ides13.22
25PwCコンサルティング合同会社13.09
26(株)タック・インターナショナル13.03
27(株)アルメックVPI12.87
28(一財)航空保安無線システム協会22.83
29東京電力パワーグリッド(株)12.67
30(一財)気象業務支援センター12.63
31(株)アンジェロセック32.43
32(株)国際テクノ・センター12.34
33(株)TECインターナショナル22.32
34(株)かいはつマネジメント・コンサルティング12.2
35三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)11.95
36国立大学法人京都大学11.67
37(株)グローバル・グループ21 ジャパン21.57
38アイテック(株)11.57
39(株)エイト日本技術開発21.52
40(株)ジャイロス21.31
41(株)マツダコンサルタンツ11.27
42(株)山下設計11.09
43(株)国際開発センター11.03
44(株)日本経済研究所10.93
45(有)ADAMIS10.83
46海外貨物検査(株)10.79
47(株)パデコ10.78
48(株)アジア共同設計コンサルタント10.71
49(株)ニュージェック10.71
50OPMAC(株20.7
(表3)2022年度JICA コンサルタント別【JV構成員受注】上位25社(件数順)
NOコンサルタント名件数
(件)
契約金額
(JV合計額)
(億円)
1日本工営(株)1947.1
2(株)オリエンタルコンサルタンツグローバル1638.35
3(株)コーエイリサーチ&コンサルティング1224.92
4八千代エンジニヤリング(株)1122.5
5(株)国際開発センター818.63
6パシフィックコンサルタンツ(株)812.64
7(株)パデコ616.08
8アイ・シー・ネット(株)510.97
9(株)エイト日本技術開発412.97
10(株)建設技研インターナショナル410.61
11NTCインターナショナル(株)410.56
12東電設計(株)49.49
13(株)アースアンドヒューマンコーポレーション47.74
14(株)NJS46.66
15(株)アンジェロセック44.58
16国際航業(株)36.58
17大日本コンサルタント(株)36.23
18(株)三祐コンサルタンツ34.81
19(株)梓設計32.96
20インテムコンサルティング(株)32.79
21(株)アジア共同設計コンサルタント31.81
22日本工営都市空間(株)29.2
23学校法人コンピュータ総合学園28.87
24(株)エックス都市研究所25.58
25(株)かいはつマネジメント・コンサルティング25.52

工営が単独・JVでトップ確保

 JICAの2022年度コンサルタント契約実績における単独(1社受注)法人、JV代表者受注法人、さらにJV構成員受注法人の上位企業をそれぞれ表1~3で示したが、すでに触れたように継続案件はカウントされておらず、大型の技プロ案件などを1件新規受注すれば順位は大きく変動するだけに、あくまでも2022年度実績という捉え方が必要である。
 単独受注トップは日本工営で20件(業務実施契約11件/単独型9件)・19億8,600万円。次いでフジタプランニング8件(3件/5件)・16億9,700万円。第3位はコーエイリサーチ&コンサルティングで8件(4件/4件)・9億8,500万円。フジタプランニングは保健医療分野の資機材協力主体に展開を図っていたが、近年は技プロの運営・実施にも注力しており、実績を伸ばしている状況だ。
 7番目にランクされたアクセンチュアは、ブータンの保健医療分野を対象とした「政府のデジタル技術及びデータ利活用能力強化プロジェクト」を単独受注し、上位に進出した。専門家のネットワーク型で経営する35位の合同会社適材適所および37位のワールド・ビジネス・アソシエイツ(WBA)は単独型に特化したサービスが特徴で、適材適所は単独型15件の実績。WBAは中小企業診断士のグループで、JICA事業ではこれまで民間企業の海外展開支援で実績を積み上げている。
 一方、JV代表者法人の上位企業は表2のとおりで、プロジェクトマネージャー(PM)など技術者層の厚い実力企業・団体が上位に並んでいる。トップ3は、日本工
営の22件・50億6,400万円(JV合計額の概算)、次いでオリエンタルコンサルタンツグローバルの13件・28億1,100万円、第3位が(一財)国際臨海開発研究センター(OCDI)の3件・13億4,900万円。ソフト系はアイ・シー・ネット、コーエイリサーチ&コンサルティング、ドリームインキュベータが上位に入った。日本工営は厚い技術者層と豊富なノウハウを背景に代表者受注を確保しており、最近のトピックではウクライナ「緊急復旧・復興プロジェクト」を代表受注(5社JV)している。
 また、OCDIはインドネシアのパティンバン港運営管理能力強化プロジェクトなどの技プロを代表者受注し、上位に進出した。
 JV構成員実績については、件数順に上位25社をランクした。契約金額は各社の構成員としての概算受注合計額である。

進む改革

 さて、JICAは2021年度から調達・派遣改革に取り組んでいる。発注者・受注者双方が手続き業務に忙殺されている状況を改善し、合理化した時間と労力を付加価値のある仕事、すなわち「開発効果の最大化」のために集中注力していくというのが改革の狙いだ。
 オペレーションでは、昨年11月から電子契約を試行的に導入。半年余りのモニタリングを踏まえ、全案件を対象に本格導入していく。また、調達・派遣業務部、事業部、受注者間でオンライン上で情報のやりとりができる「事業・契約管理プラットフォーム」の導入が進められている。JICAと受注者間の打合簿などのやり取りも煩雑を極めており、プラットフォームシステムで一元的に管理を行い、合理化と利便性の向上を図りたい考えだ。本格導入は早くても来年度下半期以降になろう。将来のシステム管理に先立ち、打合簿などの大幅な簡素化も進められている。
 一方、契約制度ではコンサルタント業界とも意見交換を重ねてきたQCBS(技術価格斟酌方式)のランプサム契約化が決定した。
 これまでは業務内容の確度が高く、業務量の小規模(10人月以下)な案件は総合評価落札方式-ランプサム型、10人月以上はQCBSで実施してきたが、今後は協力準備調査や情報収集・確認調査など全てのQCBS案件にランプサムが適用される。この10月公示分から適用が開始され、継続契約については10月以降に次期契約締結の打合簿取り交わしを行うものから適用される。JICAでは「業界との合意は得た」としているが、一部企業からは「上限価格は提示されるが、価格競争を考えるとやはり8割ラインが見えてくる。カウンタープロポーザルが出しにくくなるのではないか」(中堅コンサルタント会社社長)との声が聞かれる。
 ただ、煩雑な精算業務や事務手続きを削減できる上、何より技術者の柔軟なアサインや複数案件への従事も可能になるなどランプサム契約のメリットもあるはずだ。想定コストを下回る形で成果目標を達成すれば利幅も広がる。そのメリットを効果的に経営に生かすという戦略が重要になっている。
 「分かりにくい」と業界から度々指摘を受けていた「特記仕様書」については、ガバナンス・平和構築部と調達・派遣業務部で雛形を策定し、標準化が進められ、すでに技プロの公示に導入されている。
 また、甚大な災害発生後の復興支援のため迅速な調査業務を目指しコンサルタントをチーム派遣する「スタンド・バイ契約」などの導入が検討されており、注目される。プロポーザル競争であらかじめ複数のコンサルタント会社と契約を結んでおき、災害などが発生した場合、災害種などに応じて、契約コンサルタントの中から最適なチームを迅速に派遣できるよう準備しておくものだ。
 気候変動の影響を受け、途上国を襲う自然災害も激甚化しているだけに、早い導入が待たれる。
 (企画営業部 顧問 和泉 隆一)