日本の誇るべき「モノ造り経営学」

 3月17日付朝日新聞の「消費者第一」日本型経営学べ-という記事が私の視線にとまった。これはインドのムンバイ市にあるウイリンカー・ビジネス大学院の学生らが、東京墨田区の商店街を視察した時の記事です。ゴンダレカ学部長は「株主への利益還元を至上命題とする欧米の経営哲学は行き詰っている。日本は消費者と地域社会を大事にし、しかもムダがない。ここにインド発展のカギがある」と語っています。

 ODAの分野では、2006年の日印首脳会談による「日印戦略的パートナーシップ」にもとづいて、「インド製造業発展のための人材育成」が要請され、製造業経営幹部育成計画をJICAベースで支援しています。インド側は「産官学」の体制を敷いて、日本の「理論より実践」を重視して、人材育成計画を歓迎しています。
インドはソフト面で頭を下げたことがなく、自分が教える立場にあると自負している国です。そのインドが製造業経営学には脱帽したわけです。これは、まさに日本の誇れる分野であり、国際的にみて比較優位に立った分野だといえます。
 ご存知のように、アメリカはMBA(経営学修士)という面で、日本は敵ではないけれど、アメリカの製造業が衰退した今日、製造業経営学では日本に勝てない状況にあります。
 しかし、オバマ米大統領は、「グリーン・ニューディール」を唱え、環境関連産業の振興を目指していますから、もう一度、製造業経営学へ回帰するのではないでしょうか。とにかく、アジアは日本の「モノ造りノウハウ」に着目しています。それは私たち日本人の誇れる領域であることを自覚すべきでしょうね。