日本政府に物申す! 「3年後の不安」インドネシアからの看護師・介護福祉士候補たち

インドネシアのまじめそうな介護福祉士候補104人がテレビ、新聞などで報道されている。彼らは1月29日から6カ月間の日本語研修を終えて、全国51カ所ほどの施設で働き始めている。今後3年間、補助的な業務をこなしながら、正式な就労条件となる国家試験合格をめざす。

問題点
国家試験は日本人でも50%を超す合格率である。専門家は、インドネシアなど外国人の合格率は10%そこそこだとみられている。2007年1月に署名された日本・インドネシア経済連携協定(EPA)では、2年間で1,000人(看護師400人、介護福祉士600人)候補の来日が見込まれている。もし、10%しか合格しない場合、1,000人中900人は残念ながら帰国せざるを得なくなる。その時、不合格の900人が3年間でも日本で働けたと思って、一種の諦めの境地に立てば立ったで、他方では、看護、介護を必要とする現場からみると、現場の期待を裏切ることになる。
しかし、最大の懸念は日本との経済連携とは何なのかをインドネシア市民からの反発が自分たちの政府に向けて爆発したり、さらに、日本への不満から「反日」機運が高まったりすることだ。最近会った政策研究大学院大学副学長の白石隆氏も日本財団会長の笹川陽平氏も3年後を心配している。

解決へ向けて
(1)国家試験をインドネシア語で設問し解答させる、(2)国家試験までの3年を5年に延長させる、(3)国家試験をワンチャンスだけでなく2~3回行う、(4)かつての準看護制度のように、外国人向け準看護・介護制度を設ける。

長期的対策
EPAにもとづく看護師、介護福祉士候補に限って、当該国大学の日本語科、教室での無料講習(1年間ほど)を施し、国家試験に対処させる。あるいは、もし日本語学校が存在すれば、これを活用する。これらの場合、広い意味での「技術移転」ということでODA予算を充てる。

参考
EPA(経済連携協定)は、日本と東アジア諸国との経済連携を目指したもので、アジア各国との貿易投資の自由化枠組みを拡大することを狙いにしている。日本とアジアとのより戦略的連携といえる。その中身は貿易の関税撤廃が中心だが、他分野との包括的連携も進めている。たとえば、看護師、介護福祉士候補の受入れは「人の移動」に関する分野である。他には「サービス」、「投資」、「知的財産」などの分野での連携が含まれている。報道は日本のニーズである看護師、介護福祉士不足を強調したものが多いが、本当は日本とアジアとの「共生」に関わる大切な第一歩である。