TICADⅣ 民間からアフリカ支援に提言[2008.7.9]

 

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アフリカでの農業支援の成果などについて語る笹川陽平日本財団会長

日本のリーダーシップに期待の声も

5月29日に本会議場で行われたTICAD全体会合では、「パートナーシップの強化」をテーマに、アジア・アフリカの協力やアフリカ域内協力、官民連携などについて、アフリカ各国の大統領・首相や日本の企業、NGOの代表者らがスピーチした。

官民連携の事例として、日本側からは防虫剤成分を染み込ませた蚊帳を開発・普及し、マラリア原虫の感染拡大の防止に貢献した住友化学(株)の米倉弘昌代表取締役社長が講演。現地企業との合弁で建設したタンザニアの蚊帳工場の経験をもとに「アフリカの成長のためには、技術を移転して雇用を創出し、支援先の経済が自立できるようにすべき」と話した。住友化学は、09年にナイジェリアでも蚊帳の製造工場を建設する予定だ。

また、アフリカの食糧増産プロジェクトやハンセン病制圧活動などに取り組む日本財団の笹川陽平会長は、日本の民間非営利組織の代表として初めてTICAD本会議でスピーチを行い、アフリカ政府、企業、NGOなどと連携して事業を展開してきた長年の経験やノウハウ、ネットワークについて語った。さらに、「今後アフリカに必要なのは、インフラの整備と市場の管理」として、今後も官と民が協力してそれぞれの役割を全うすることが必要と提案した。

アフリカ側からは、ナミビアのポハンバ大統領と赤道ギニアのオンド・ビレ外務・国際協力・仏語圏大臣がスピーチを行い、「アフリカの持続的な成長のためには地元企業への積極的な投資と政府の人材・能力不足の克服が不可欠。そのために日本も官民連携でリーダーシップを発揮してほしい」などと語った。

『国際開発ジャーナル』2008年7月号掲載記事