JICA:企業とCSR事業の連携で報告書[2008.11.7]

[国際協力機構(JICA)] 企業とCSR事業の連携で報告書
ベトナム日系企業への調査に基づき提言

国際協力機構(JICA)は、コミュニティー開発支援無償資金協力と企業の社会貢献活動の連携の可能性について調査した報告書『コミュニティ開発支援無償を中心とした無償資金協力とCSR事業の連携に関する基礎研究報告書』をまとめた。ベトナムにおける日系企業のCSR活動について取り上げ、企業とJICA事業との連携の可能性を探っている。

コミュニティ開発支援無償は2006年度から開始され、これまでコミュニティーの総合的な能力開発をめざして、学校、道路、給水など複数のコンポーネントからなる支援を一つのプロジェクトとして実施してきた。ベトナムにおいては「ベトナム国カマウ省森林火災跡地コミュニティ開発支援計画」の準備を進めているが、この事業をケースとして、企業との連携の可能性について調査している。

報告書によると、この事業は植林、水路浚渫、森林火災予防機材の調達、医療サービスの向上、アクセス道路建設、学校建設などのコンポーネントが予定されており、企業のCSR事業との連携が想定されるのは、「建機技術指導者の派遣」、「農民向け短期融資制度の啓発/普及」、「長期融資制度構築」など。企業の本業を生かした連携として、建機維持管理技術指導、農民の所得向上プログラム、マイクロクレジット事業などが案として挙げられている。

これに対する企業側の反応は、本社ベース(8社対象)ではこの事業との連携可能性はすべて「なし」との回答であったが、現地の日系企業(対象11社)では3社(製造業、サービス業)が積極的な関心を示した。

報告書では、こうした企業への調査結果から、企業とJICAとの連携パターンを「垂直(時系列)連携、水平(面的)連携、「同一地域の別分野連携」、「CSR重点分野との連携」、「事業拠点周辺でのCSR活動」、「本業と直結したCSR事業との連携」の6つに分類。連携を進めるためにJICA側の制度整備などを提言している。その際に、企業とNGOのマッチングの役割を担うべきと言及されている。