外務省:太平洋島嶼国支援検討委員会が始動[2009.2.5]

[外務省]
太平洋島嶼国支援検討委員会が始動
太平洋・島サミットに向け3月に提言書作成

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初会合後に開かれたレセプションで挨拶する座長の小林氏

6名の有識者で構成

外務省は昨年11月下旬、太平洋島嶼国支援検討委員会の第1回会合を都内で開催した。この委員会は、日本が今年5月に北海道トマムで開催する「第5回日・PIF首脳会議(PALM:Pacific Islands Leaders Meeting)」(通称:太平洋・島サミット)に向けた準備として設置されたもの。

この委員会では、6人の有識者(表参照)らを中心に、①これまでの太平洋・島サミットの実施状況・成果のレビュー、②レビューを踏まえた上での日本の今後の太平洋島嶼国に対する支援のあり方を検討。3月までに計6回の会合を実施、気候変動など太平洋島嶼国の抱えるさまざまな課題に応じた検討を行い、提言がまとめられる予定。またこの提言は、3月末に日本で開催される「第5回太平洋・島サミットSOM会合」(高級事務レベル会合)でさらに議論されることになっている。

PIFは「太平洋諸島フォーラム(PIF:Pacific Islands Forum)」の略で、1971年に太平洋の島国・地域のほかオーストラリアやニュージーランドが参加して発足した地域協力の枠組み。日本は、97年に第1回太平洋・島サミットを主催して以降、3年に1度、PIF諸国の発展に向けた支援策を発表してきた。

次の10年に向け新たなビジョンを

第1回目の会合あいさつで外務大臣政務官の御法川信英氏は、当該地域に対しては「二国間ODA予算の約1%強の割合で推移してきた」ことを説明、昨今のODA予算をめぐる厳しい状況の中で、「主要ドナー国は太平洋島嶼地域への支援を強化しており、日本の依存度は依然として高いものの相対的には低下しつつあるのでは」との懸念を示した。また各委員に対しては、「さまざまな角度から、この地域への支援・関与のあり方について意見をいただきたい」との期待が述べられている。

今回の会合で座長に選任された大阪学院大学大学院教授の小林泉氏は、会合の冒頭、第1回目の太平洋・島サミット開催から10年が経過した現在、「次の10年のビジョンを考える時期にある」との認識に立ち、これまでの支援策に関し、「実際に実行に移せたか、また実行できなかったものがあれば、その原因は何かを踏まえながら議論していきたい」との考えを示した。また、「太平洋島嶼国への支援を検討する際には押し付けととらえられないよう配慮する必要がある」と指摘。この点について小林氏は、「日本の援助は非常に評価されており、旧宗主国の援助とは違うという認識が持たれている」ことを紹介した。

外務省からあいさつに立ったアジア大洋州局参事官の小原雅博氏は、この地域を取り巻く状況や太平洋・島サミット開催の経緯などを説明。また一案として、気候変動や持続可能な開発や、これらを横断した人と人との交流・人づくりといった分野で協力を推進していくべきとの考えを示した。

また各委員らによる自由討議では、日本の対太平洋島嶼地域協力の現状について、「この地域へのODAを倍増するくらいの思い切った方向性を打ち出し、日本が太平洋地域を重視している明確なメッセージを発信すべき」などの指摘がなされた。また今後の協力を検討する際に留意すべき点について、「支援慣れという側面も見受けられ、自立的視点が欠けているように思える。現地で真に意味のあるニーズを見極めることが重要」、「環境については、環境教育が重要。今後は水質管理、ゴミ処理などの日本の素晴らしい技術と人づくりとを併せ、その国の人に真に評価されるような援助を行ってほしい」などの意見が出された。

太平洋島嶼国支援検討委員会委員メンバー

大阪学院大学大学院 国際学研究科 教授
太平洋諸島地域研究所 理事
小林 泉 氏(座長)

慶應義塾大学総合政策学部 教授
草野 厚 氏

産経新聞社特別記者・論説委員
千野 境子 氏

㈱コスモ総合研究所経済調査部 CSR環境グループ長
鴇田(ときた) 穂積 氏

㈶オイスカ 会長
中野 良子 氏

中部大学 国際関係学部 准教授
野田 真理(まさと) 氏