「水に関する有識者・実務者検討会」報告書発表[2008.3.5]

G8洞爺湖サミットへ向け提言

07年12月、外務省の「水に関する有識者・実務者検討会」は、「安全・安心で快適な水循環社会の実現のために」と題した報告書を提出した。検討会では、今年7月に日本で開催されるG8洞爺湖サミットなどに向け、今後の水と衛生分野における国際的な取り組みのあり方について議論、報告書にはその成果を踏まえた提言が盛り込まれた。

水問題の解決は人間の安全保障の向上につながる

「水に関する有識者・実務者検討会」では、水分野で日本を代表する有識者や各関係行政・機関が一堂に会し、今後の水と衛生分野での国際的な取り組みのあり方について議論、昨年12月にはその成果が報告書として取りまとめられた。

「“World Water Welfare(安全・安心で快適な水循環社会の実現)のために”G8サミットその他の国際取組にむけての提言」と題した報告書では、現在の水問題の現状について、「安全な飲み水や適正な衛生施設にアクセスできない人びとがそれぞれ全世界の1/5、2/5も存在し、これが原因で毎年180万人の乳幼児が命を失っている」ことを報告。さらに水に起因する災害や環境、食糧問題にも触れ、「水問題は自然環境変動だけではなく人間社会の問題」だとの認識を示している。また2000年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)でも、「安全な水の供給と衛生改善は健康のみならず、子どもの教育、ジェンダー平等、貧困撲滅などさまざまな課題の解決に関係し、人間の安全保障の向上に大きく貢献する」との認識が示されていることを紹介している。

これら水問題に関する現状を踏まえ、今後想定される懸念材料について報告書では、「アジア・アフリカでの人口増加や経済成長により水や食料の需要が増加し、都市部への人口集中が水資源不足や環境・衛生の悪化を増幅させ、持続可能な開発を脅かす」と警鐘を鳴らしている。また気候変動による水資源への影響についても触れ、「気候変動は、干ばつ、洪水、海面上昇や高潮による国土の喪失などを引き起こし、また国際河川などでは水資源の争奪が軋轢を招く」との話を、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の報告書から引用している。

続きは『国際開発ジャーナル』2008年3月号「NEWS&TOPICS」(P73)に掲載!