月別アーカイブ: 2月 2017

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【ジュネーブ便り】経験を糧に文化の壁を乗り越える

国際貿易センター(ITC)アジア・太平洋部
ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)
齋藤 美穂子 さん

【齋藤さんのキャリアパス】
22歳 国際基督教大学を卒業
24歳 東京大学公共政策大学院を修了後、
   (株)三菱総合研究所の海外事業研究センターに勤務
30歳 外務省専門調査員の試験に合格。
   在ジュネーブ日本政府代表部に派遣
33歳 JPOとしてITCに赴任
34歳 現職


(モザンビークの中小企業支援庁で協議を実施)

 

 国際貿易センター(ITC)は、開発途上国の中小企業の貿易促進を支援する国連機関で、約300人の職員が、開発途上国の中小企業の能力強化および貿易促進支援などに携わっています。

 現在、私はITCのアジア・大洋州部に所属し、カンボジアやラオス、ミャンマー、ネパールなどの中小企業の支援や、アジアの対アフリカ投資拡大に向けた事業を担当しています。

 例えばカンボジアでは、伝統的に農村の女性たちが繭を育て、絹を織ってきました。最近では、その高い技術と品質を強みとして絹の輸出を目指す女性起業家も増えています。ITCでは、彼女たちと連携し、輸出先の開拓や市場調査、ブランド化、貿易展示会への出展などに向けた支援を行っています。

 また、対アフリカ投資拡大支援プロジェクトでは、各国の政府機関との貿易・投資促進関連の協議や、アフリカ企業とアジアの投資家のマッチング、投資視察ミッションなどを企画・運営しています。

 私は、小・中学生時代を香港で過ごしたことがきっかけで海外に携わる仕事をしたいと考えるようになり、高校生の時に特に多様性を推進する組織である国連に関心を抱くようになりました。

 大学院を出た後、民間のシンクタンクで約6年間、主に海外プロジェクトに携わりましたが、国際機関で働く夢を実現するため、退職を決意。外務省の専門調査員試験に合格し、在ジュネーブ日本政府代表部に派遣されました。

 ここでは経済班に所属し、国連と世界貿易機関(WTO)における貿易・開発関係の業務を担当しました。毎日のように国連欧州本部やWTOの会議場に行っては、世界中から集まった外交官に囲まれながら日本政府の立場を発信し、各国の動向をフォローしました。

 この経験を基に、2015年からJPOとしてITCで勤務しています。日本社会で「和を重んじる」ことに慣れていた私にとって、国際機関であるITCでの仕事は、カルチャーショックの連続でした。

 まず、同僚の自己主張の強さに圧倒されました。会議で黙っていると貢献していないと見なされるため、事前に自分の意見をまとめることが必要になりました。また、英語の微妙なニュアンスで誤解を招かないよう、メールや議事録の作成にも時間がかかりました。

 しかし、一つ一つの仕事にしっかりと向き合い地道な成果を重ねることで、徐々に周囲から信頼を得ることができ、現在は大きなプロジェクトも任されています。

 周りには、貿易実務やマーケティング会社、金融機関などさまざまな経験を経て国連に転職してきた人が多くいます。私にとっても、日本で働いた6年間は、社会人としての心構えや仕事の進め方を身に付ける上で重要でした。これから国際機関を目指す人は、まずは自国の政府機関や民間企業で働いてみることをお勧めします。

 今後も国連機関に残れるよう、貿易・投資分野の専門性を高めたいです。また、英語に磨きをかけると同時に、第二外国語としてフランス語の習得にも励みます。

(出典:「国際開発ジャーナル」2017年1月号)

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【大学の国際化最前線】東洋大学

アフリカへの取り組みを加速 研修生を積極的に受け入れ

 


(岩手県山田町のカキとホタテ養殖の現場で。
ABEイニシアティブ研修生は、地方のまちづくりの現場も積極的に視察している)

【ケニアの大学とダブルディグリー目指す】
 2014年度に文部科学省の「スーパーグローバル大学創生支援事業」に採択されるなど、国際化を進める日本の私立大学の中でもトップランナーの一校と言える東洋大学。
 国際開発の分野においても、01年度には国際地域学研究科の中に「東洋大学国際共生社会研究センター」を創設し、アジアを中心に途上国開発の手法を探求してきた。15年度には、同センターの研究テーマを「アジア・アフリカにおける地域に根ざしたグローバル化時代の国際貢献手法の開発」に変更し、研究対象地域をアフリカにも拡大した。

 同センターのセンター長を務める北脇秀敏副学長は、「われわれの目標は、世界を俯瞰しながら普遍的な国際開発の手法を創造すること」とした上で、「今後、南太平洋や中南米にも研究対象を広げるのに先立ち、まずアフリカに研究基盤をつくりたい」と語る。

 同センターは16年、ケニアのジョモ・ケニヤッタ農工大学と包括協定を締結し、日本で共同シンポジウムを開催するといった取り組みを進めている。北脇副学長は、「今後、これをダブルディグリープログラムにまで発展させ、学生の交流を活発にしていきたい」と抱負を語る。

【日本人学生に大きな刺激】
 また、東洋大学は近年、日本政府が進めるアフリカの産業人材の育成プログラム「ABEイニシアティブ」にも積極的に関わっている。同イニシアティブが始まった14年に2人のアフリカの研修生を大学院に受け入れた後、15年には10人、16年には6人を受け入れている。

 ABEイニシアティブ研修生の受け入れに関する調整業務を担当する国際地域学研究科の岡村敏之教授は、「研修生の受け入れは、アフリカの人材育成への貢献が第一の目的」とした上で、「実は、彼らの存在は日本人学生にも良い刺激を与えている」と指摘する。

 ABEイニシアティブの研修生は、皆、厳しい選抜をくぐり抜けて来日した現地政府や企業のエリートたちだ。研究に対する意欲も高く、プレゼンテーションの手法なども洗練されているため、彼らと席を並べて学ぶ日本人学生にとっても、得られるものは非常に多いと言う。

 また、情報科学の専門家で、現在、ABEイニシアティブの研修生をゼミに受け入れている中挾知延子教授も、「彼らは人間性にも非常に優れており、日本人学生のたどたどしい英語にもしっかり耳を傾け、上手にほめてくれるなど、あたかも“兄貴分”的な存在だ」と微笑む。

 このような取り組みを続ける中、同大学ではアフリカに関心を持つ日本人学生が徐々に増えているという。今後、日本とアフリカの架け橋となる人材が同大学から多数生まれてくることを期待したい。

【Access】
白山キャンパス
〒112-8606 東京都文京区白山5-28-20
URL:http://www.toyo.ac.jp/

(出典:「国際開発ジャーナル」2017年2月号)