月別アーカイブ: 2月 2016

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青山学院大学 地球社会共生学部

2050年の社会を見据えて

 近年、欧米などの先進諸国が不況に苦しむ一方、新興国や開発途上国は急速な経済成長を遂げている。実際、2050年までに、アジアの国々のGDPの総額は世界のGDP総額の5割以上に達すると言われている上、アフリカ諸国のGDP総額も約2割に成長すると見込まれている。しかし、これらの国々では、貧困や紛争、環境破壊など、多くの課題が山積しているのも事実だ。
 青山学院大学は、新興国や開発途上国の人々と共に働き、世界の共生と発展に貢献する人材の育成を目指し、2015年4月、「地球社会共生学部」を新設した。

4つの領域で実践力培う

  昨年、開設65周年を迎えた青山学院大学。設立当時から英語教育に注力し、1982年には国際公務員の養成を目指す「国際政治経済学部」を設立するなど、常に先駆的な取り組みを進めてきた同大学が、新たな挑戦に踏み出した。「社会科学系のグローバル人材育成」を掲げる「地球社会共生学部」の新設だ。学部長の平澤典男教授にその狙いを聞いた。

成長地域と共に  

 日本では近年、少子高齢化の進展を受け、新たな労働力として女性や高齢者の活用を進めている。だが、現在の大学生が社会の牽引役となる2050年頃には、総人口自体が減少するため、市場や労働人口の縮小は避けられない。こうした中でも日本の国力を維持するためには、今後の成長が見込まれる新興国や開発途上国の人々の活力を日本に取り込み、彼らと共ビジネスを行うことが必要となる。
 さらに、日本全体にグローバル化の波が押し寄せる中、今後は国内勤務か海外駐在かを問わず外国人と共に働く可能性が高い。こうした状況を見据え、外国人と共に働く力を持った人材を育てることが、今回の新学部設立の狙いだ。  しかしながら、すでに多くの大学がグローバル人材の育成に取り組んでいる。さらに青山学院大学としてもこれまで長年にわたり英語教育に注力してきたことから、「今さらなぜグローバル人材の育成に特化した学部を新設する必要があるのか」と疑問に思う人もいるかもしれない。
 そうした疑問の声に対しては、「地球社会共生学部で目指すのは社会科学に通じたグローバル人材の育成だ」と強調したい。新興国や開発途上国で問題を解決し事業を営むためには、その国の政治や法律、経済に対する深い理解が必要だ。青山学院大学は、戦後以来、社会科学分野で多くの人材を輩出してきた。この歴史の中で培われた力を生かし、新学部ではグローバル人材にとって最も重要な社会科学の力を習得してもらうことを目指す。これにより、日本全体が抱えるグローバル人材の層も厚くなることが期待される。

世界の開発課題に対応  

 新興国や開発途上国は、急速に経済成長を遂げつつある一方、貧困や差別、紛争、情報格差、環境問題などの開発課題が未解決のまま残されている。こうした問題を現地の人々と共に解決していくことこそ、現地と日本が共に繁栄し、地球全体の共生の実現につながる方策だ。
 地球社会共生学部では、次の4つの領域を設け、新興国などの開発課題に対応できる人材を育成している。国際協力論や貧困問題などを学ぶ「コラボレーション領域」、国際経済学やアジアの都市インフラの課題などを学ぶ「ビジネス領域」、ジャーナリズム論や地理情報システム(GIS)をはじめとする空間情報の利用について学ぶ「メディア/空間情報領域」、そして社会学全般を学ぶ「ソシオロジー領域」だ。
 学生は、1年次に各領域の基礎を修得した上で、2年次以降は自身が特に強い関心を持っている分野を深め、社会科学の視点から開発課題を多角的に考える力を身に付ける。

留学は必須

 さらに、地球社会共生学部では、2年次後期か3年次前期のどちらかで、タイやマレーシアなどにある協定校への「フィールドワーク型留学」を必須としている。学生は、留学前に現地の社会課題の中から1つテーマを選んで調査を企画し、留学中にフィールドワークを行い、帰国後にその結果を報告することが求められる。こうした取り組みを通じて、彼らはビジネスなどの現場で応用可能な実践力を身に付けることができるのだ。
 一般的に日本の大学は、同じ社会科学系であっても「経済学部」「法学部」という具合に縦割りになっていることが多い。しかし、地球社会共生学部では、社会科学系のすべての学問を修めることができるため、学生はさまざまな可能性を試すことができる。ぜひ、一人でも多くの若者にこの新学部で学んでもらい、2050年の世界を見据えつつ多様な分野でグローバルに活躍してほしいと思う。

【School Data】

<学部概要>
入学定員:190人
就学キャンパス:相模原キャンパス(1~4年次) 
学位:学士(学術)
<養成する人物像>
1、語学力に裏打ちされたコミュニケーション能力
2、主体性、積極性、協調性、リーダーシップなどの能力
3、自己アイデンティティーを土台にした異文化共感力
4、社会科学の幅広い素養に基づいた専門的能力
5、地球上の人たちに貢献したいと思う「こころ」
<留学協定校>
チュラロンコン大学(タイ)、タマサート大学(タイ)、カセサート大学(タイ)、チェンマイ大学(タイ)、ほか
学部に関する最新情報は地球社会共生学部のWebサイト http://www.gsc.aoyama.ac.jp/をご参照ください

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北海道大学大学院 国際広報メディア・観光学院観光創造専攻

次世代の観光開発へ

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 日本では今、少子高齢化や地方の疲弊が大きな課題となっている。 そうした中、経済活性化の起爆剤として期待を寄せられているのが観光振興だ。 世界においても同じことが言える。
 開発途上国に眠っている自然環境や文化遺産などの観光資源を生かすことが、貧困層の生活を改善するカギとなる。 北海道大学大学院の国際広報メディア・観光学院観光創造専攻は、国内外において、次世代の観光開発を担う人材を育成・輩出している。

世界で活躍する人材を育成

 国立大学法人で初めての観光分野の大学院として、2007年に創設された北海道大学大学院の国際広報メディア・観光学院観光創造専攻。 国内の観光開発はもちろん、世界を舞台に活躍する観光分野の開発協力の専門家育成にも注力している。同専攻の特徴について探った。

新たな観光を「創造」

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 新興国を中心とする世界的な経済発展や、航空網の発達によって、国際的な旅行市場は拡大を続けている。国連世界観光機関(UNWTO)によると、07年に全世界で8億800万人に達した国際観光客数は、20年までに15億6,000万人に上ることが予想されている。
 こうした状況を踏まえ、日本政府は03年、初めて観光を国家的課題として掲げ、「観光立国宣言」を採択した。08年には「観光立国推進基本法」を策定し、地方創生と絡める形で、観光の促進に向けさまざまな取り組みが行われている。
 こうした動きと連動し、北海道大学では06年、観光研究を担う学術拠点として「観光学高等研究センター」を設置。翌07年には、観光分野の高度人材を育成する場として観光創造専攻を創設した。
 この背景について、同専攻の石黒侑介特任准教授は、「これまでは旅行者や旅行会社など『訪れる側』を中心に観光が捉えられてきたことへの反省がある。観光創造専攻では、住民の所得の向上や資源の保全など、地域が観光を通じて何を実現できるのかを第一に考える、真に地域に根ざした新しい観光の『創造』を目指している」と語る。
 具体的には、地域住民を巻き込んだ観光を構想したり、外国人と地域住民の相互交流を促す出会いの場を創出できるような人材の育成を進めているということだ。

コンサルティング能力を育成  

 同専攻の特徴の一つが、フィールド実践型の講義だ。大学院生はまず、世界遺産の管理・活用やエコツーリズム、アニメの聖地巡礼、観光マーケティングまで、地域の「観光創造」に求められる幅広い理論を、座学を通して身に付ける。同時にその実践として、国内外のフィールドで観光による「まちづくり」に参加する。特に近年は開発途上国におけるフィールド実践型のプログラムが充実している。 実は、同専攻の教員の多くはコンサルタントとして国際協力機構(JICA)のプロジェクトに携わっており、日本国内での取り組みを通して得られたノウハウや技術を現在進行形で開発途上国へ移転している。大学院生はこうした「現場」に携わることを通じて、知識偏重ではない実践力を身に付けていく。
 一例として、2011年から進めている、エチオピアのシエミン国立公園への観光協力がある。ここでは、国連教育科学文化機関(UNESCO)の世界遺産リストにも登録されている希少な自然環境が、農民の農地開拓によって危機にさらされていた。この問題の根源にあるのは、農地を開墾しなければ生きていけない農民の貧困だ。そこで、同専攻では新たな生計手段として、彼らの日常生活を体験する農村ツアーを企画し、すでに観光客の受け入れを始めているという。
 また、世界遺産を目指すヨルダンのサルト市では、街を一つの博物館に見立て、旅行者が各家庭の「おたから」を見て回るツアーを開発した。

「准専門家」として実務も経験

 
 フィールド実践型の講義に加え、同専攻では、プロジェクトが必要とする専門的な知見を有していると認められた学生を専門家に准ずる立場、いわば准専門家としてJICAのプロジェクトに派遣する仕組みを有している。 石黒特任准教授は、「開発コンサルティング企業の多くでは、採用要件として現場での実務経験を求められる。しかし、大学院在籍中に専門家に准ずる立場で現場を経験できれば、採用選考時に履歴書で『実務経験あり』とアピールすることができる」と語る。
 そのほか、同専攻には、修了後に青年海外協力隊員として再び現場に飛び込む学生や、博士課程に籍を置きつつ、JICAなどから受託したプロジェクトに継続的に参画して専門家への道を歩む学生もいる。
 多様な実践プログラムを通じて「観光分野の国際協力に携わりたい」という熱意を持つ学生を支援する観光創造専攻。ここから羽ばたく人材が、日本と世界でどんな観光を創造していくのか楽しみだ。

【学生の声】 観光創造専攻修士課程1年 橋本 瑠奈さん

『フィールド演習で強まった思い』

 多様な人々の交流を創出し、地域の活性化にも役立つ「観光」に可能性を感じ、観光創造専攻に入学しました。
 本専攻では、座学で「なぜ人は旅をするのか」といった哲学的問題から、観光による地域振興の手法まで、観光を多角的に学べます。これは、多様な経歴・専門分野を持つ先生方が集まっているから可能になることです。
 国内・海外でのフィールド型演習も多く開講されています。こうした演習では、「観光を通じた地域課題の解決」を目指し、現地を実際に歩いて住民と共に解決策を考えることで知識や経験を積むことができます。
 私はフィジーでの演習に1カ月間参加して、「自分の知識や経験を社会に還元したい」という思いが強まり、2015年4月から大学院を休学して青年海外協力隊員としてフィジーに行くことになりました。こうした多様な選択肢があるのも魅力の一つです。将来は地域住民と協働して課題の解決に取り組めるような研究者になりたいです。

【OGの声】 観光創造専攻 准教授 八百板 季穂さん

『新たな発見と感動を現地の人々と』

 九州大学で芸術工学を学んだ後、「地域固有の文化の保全と、それを継承する人々の生活の質向上を同時に実現する可能性を持つ観光について学びたい」と一念発起し、観光創造専攻の博士後期課程に転学。フィジーで長い歴史を持つ港町レブカを研究しました。その後、本学と国際協力機構(JICA)が観光分野で連携することになり、2011年、レブカをフィジー初の世界遺産として登録することを目指して研究に取り組みました。そして13年登録された後も、年の7割以上をエチオピアやペルー、フィジー、バングラデシュなどで過ごす日々が続いています。
 本専攻で学ぶ中で、開発途上国の観光開発に携わる喜びを知りました。現場には、新たな発見と感動が満ちています。現地の人々と一緒にそれを体験できる素晴らしさは、言葉では言い尽くせません。それらの経験一つ一つが自分を大きく成長させてくれます。ぜひ皆さんも、観光創造の世界に一歩、足を踏み出してみませんか。

「3つの力」を軸に国内外で実践教育

 観光創造専攻では、次世代の観光を創造する人材に求められる資質として、三つの力の修得を重視している。一つ目は、地域社会と共に地域資源から新たな価値を生み出す「価値共創力」。二つ目は、観光を軸に「まちづくり」をコーディネートする「地域協働力」。そして三つ目は、これら「価値共創力」と「地域協働力」を国際社会でも展開できる「国際貢献力」だ。同専攻には、これらに対応した講座が設けられており(下記参照)、実践経験が豊富な教員たちが指導を行っている。
 また、東日本旅客鉄道(株)や北海道旅客鉄道(株)から支援を受けて開設された「観光地域マネジメント寄附講座」に加え、北海道の札幌市や美瑛町、岐阜県白川村など自治体との連携も盛んだ。キャリアパスも、観光関連事業者や民間シンクタンク、官公庁、地方自治体への就職から博士課程進学まで幅広い。
 国際協力機構(JICA)の技術協力プロジェクトとして 、前ページでも紹介したエチオピアやヨルダンの案件のほか、フィジーや中南米の観光開発プロジェクトで実戦経験を積むことができる。中には修士課程に在籍しながら青年海外協力隊の観光隊員として開発途上国に派遣される院生や、修了後に同大学の観光学高等研究センターの学術研究員となり、観光分野の開発協力の専門家を目指す院生もいる。
 さらに、スペインのバルセロナ大学やフィンランドのラップランド大学、国連世界観光機関(UNWTO)といった世界の観光研究機関とも連携を進めており、実践的かつ多彩な教育環境が備わっている。

多様なカリキュラム(2014年度の例)

観光創造概論
観光創造特論「観光と文明・文化」
観光創造特論「観光資源と環境」
観光創造特論「地域と観光」
観光創造特論「観光とコミュニケーション」
観光創造特論「観光と国際交流」
観光創造特論「観光と経営」
観光開発国際協力論演習
観光文化概論
観光創造論演習
地域マネジメント論演習
インバウンド・ツーリズム論演習
観光マーケティング論演習
観光マーケティング国際戦略論演習
特別演習「トランスナショナル研究論」
特別演習「エコミュージアム創造論演習」
特別演習「観光創造による地域づくり演習~美瑛町」
特別演習「観光創造による地域づくり演習~白川郷/竹富島」
特別演習「観光創造による国際協力~バングラデシュ国/フィジー国~」
エコツーリズム論演習
ヘリテージ・ツーリズム論演習
遺産創造論演習
地域文化論演習
観光思想論演習
観光コミュニケーション論演習
地域人材育成論演習 地域創造論演習
観光地域イノベーション論演習
コンテンツ・ツーリズム論演習
観光社会文化論演習
地域ブランディング論演習
観光文明論演習
世界遺産マネジメント論演習

※講義以外にも開発途上国の観光開発の現場に携われるプログラムが数多くある。

入試に関する最新の情報は、http://www.imc.hokudai.ac.jp/をご確認いただくか、idc@cats.hokudai.ac.jpまで。

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立命館アジア太平洋大学大学院 アジア太平洋研究科 アジア太平洋学専攻・国際協力政策専攻

国際的なキャンパスで想像力豊かなスペシャリストを養成

【学生の声】

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アジア太平洋研究科 アジア太平洋学専攻・博士後期課程
石丸 久乃さん  

 コミュニティー・キャパシティーと地方開発というテーマで研究しています。修士課程では、地元大分県で確立された「オンパク手法」がコミュニティー・キャパシティーに与える変化を研究しました。オンパクとは、別府八湯温泉泊覧会の略称で、地域の人や資源を活用した体験型プログラムの提供と参加を通して、地域活性化につなげる取り組みです。  
 博士後期課程では、その経験をタイに移して研究を進めています。タイにおける地方開発の変遷を追いかけると同時に、現在進行中の「オンパク手法」を活用したプロジェクトがタイの地方開発とコミュニティー・キャパシティーに与える変化をアクション・リサーチの方法で進めています。将来は、タイにとどまらず色々なところで地方開発に携わりたいと思います。

【教授の声】

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アジア太平洋研究科 三好 皓一教授

理論と実践の2本柱

 「アジア太平洋時代の人材育成」を基本目標として、立命館アジア太平洋大学(APU)が開学したのは2000年2月。まだ若い大学であるが、最大の特色は何と言ってもその国際性にある。留学生は学部を含めて約2,500人と国内最大規模の人数であり、2003年開設の大学院は9割が留学生で占められている。 学部レベルよりさらに高度な専門知識を持つ国際人育成を目的に、開設されたのがアジア太平洋研究科だ。多国籍の学生で構成される大学院らしく、講義はすべて英語で行われている。専攻はアジア太平洋学専攻と国際協力政策専攻の2つに分かれる。  
 「“国際協力”という専門分野はありません。どの分野の専門家として国際協力に携わりたいのか、それを考えるように常に学生に問いかけています」と説明するのは、国際協力機構(JICA)で長い勤務経験がある三好皓一教授である。 三好教授のゼミでは、その国際的な特性を生かし、理論と実践を組み合わせた多角的なアプローチが展開される。例えば、アフガニスタンの復興プロジェクトを取り上げる演習では、インターネットや各国の媒体からそれぞれの言語を母語とする学生が最新の「生の情報」を収集し、共通言語である英語に要約して持ち寄る。つまり、タイ語の情報をタイ人の学生が、シンハラ語の情報をその言語ができる学生が持ってくる。これによって、ゼミの議論に複眼的で重層的な視点が発生してくる。  
 専門性を高めるために、「開発経済」「国際行政」「環境管理」「観光管理」の4分野を設け、それぞれの専門分野でより論理的かつ実践的に研究学習を深められる体制も整えている。これらを通じて、院生は課題解決に対する多角的アプローチによる政策形成スキルを磨く。講義はすべて英語で行われるので、日本にいながらにして国際性を身に付けられる教育研究環境を提供しているのも特徴だ。  
 三好教授は「コミュニティ・キャパシティと地方開発」と題してJICAより委託された研修を、アジア、アフリカ、中南米からの研修生向けに毎年8回程度行っているが、このプログラムの講義やディスカッションにはゼミの学生も積極的に参加し、プログラムのファシリテーターも学生が務める。また、実際の援助プロジェクトに参画する機会も用意されている。さらに、学生たちはスイスのサンガレンシンポジウムをはじめとした世界各国の国際会議でも発表している。 こうした教育・研究活動と同様、他のゼミや研究科全体としても、さまざまな取り組みが展開されており、学生は常に理論と実践にコミットメントすることを動機付けられる。卒業後は国際的な進路を目標とする学生が多く、さまざまな国際協力分野の第一線で活躍することが期待されている。若い大学の世界への飛躍が今、始まっている。

【Point】

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タイの貧困地域で教育支援 APU公認の学生NGO団体

 PRENGO(プレンゴ)は、2003年4月にAPUの学生によって創設されたNGOである。この名称は、“PRE”とNGOを組み合わせたもので、普通のNGOの一歩先を行く(学生だからこそできる活動を展開する)という気概を示している。創立以来300名を超えるメンバーがタイ南部の貧困地域で教育支援を行ってきた。上のコラムに登場する石丸さんも学部生の時に参加している。  
 「100マス計算」で有名な陰山英男先生と共同して教育支援活動を行う一方、大分県発祥の一村一品運動を導入した地域開発活動を行うなど、現在の活動は多岐にわたる。  
 PRENGOの活動は下記のサイトで確認できる。
http://www.prengo.org/

【スキルを身に付ける】

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グローバルな教育環境で 国際的な評価も定着

 アジア太平洋研究科ではほとんどの講義やゼミに先進国と開発途上国の双方の学生がいるため、援助を行う国、受け入れる国の両方の視点から議論が交わされる。立場が異なる者同士で、しかも実際に開発問題にかかわっている実務者や研究者も参加しているので、真剣なディスカッションは大学院のレベルを超えて、そのまま現実に展開可能な知見を導き出す。実際に海外の学会で発表されたケースや、帰国した学生が行政官として国の施策に生かしているケースもある。 同学では国際的に活躍する著名人を招き、定期的に講演会を開いている。そこには元国連事務次長の明石康氏、グラミン銀行総裁のムハマド・ユヌス氏など国内外のビッグネームが名を連ねている。国際的なリーダーの生の声に触れ、直接対話できる貴重な機会である。
 これらがあいまって、同大学院は比較的新しいにもかかわらず、国際的にはすでに高い評価を受けており、2008年度には世界銀行、2010年にはアジア開発銀行からそれぞれ奨学金制度の対象大学として承認された。従来からの日本政府や国際協力機構(JICA)の奨学金制度に加え、インドネシア政府の奨学金制度などもあり、海外からの留学生に高い人気を誇る一因となっている。

グローバルな教育環境

 海外からの留学生は政府機関や企業から派遣された学生も多い。教員は欧米だけでなくアジア、アフリカなど世界中から集まっている。

企業説明会・採用選考会

 企業がキャンパスで面接・採用を行う「企業説明会・採用選考会」制度が確立。企業や国際機関の採用担当者を招いたセミナーも随時開催。修了後の就職率は高水準を維持している。

【School Data】
取得可能な学位:
修士(アジア太平洋学)15人/博士(アジア太平洋学)10人
修士(国際協力政策)45人/修士(経営管理)40人
開講形態:平日昼
奨学金:授業料減免奨学金制度あり
主な進路:各国政府機関、国際機関、世界銀行、大学、開発コンサルティング企業など

【Access】
〒874-8577 大分県別府市十文字原1-1
TEL 0977-78-1119 
FAX 0977-78-1121
E-mail apugrad@apu.ac.jp
URL http://www.apu.ac.jp/graduate/
交通 JR日豊本線亀川駅からバス15分

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鳥取大学

農学部国際乾燥地科学コース(学部)
農学研究科 国際乾燥地科学専攻(修士課程)
連合農学研究科 国際乾燥地科学専攻(博士課程)
乾燥地研究センター

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乾燥地科学の専門家を育成

【学生の声】

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農学研究科国際乾燥地科学専攻(乾地土壌保全学分野)
岡崎 正泰さん

 高校生の時、メディアを通して世界の砂漠化や食糧問題を知り、強い関心を持ちました。鳥取大学は乾燥地農業に関する多様な分野の教授がおり、加えて実験設備が充実し、修士課程ではITPを活用し海外の現場で研究ができることもあり、入学を決意しました。 フィールドワークでは、チュニジアで灌がい計画作りのため栽培実験を行い、乾燥地問題の深刻さを実感するとともに、現地の人々と共に生活して異文化交流の面白さを知りました。それまで将来は国際協力の現場で働くか、教師になるか悩んでいましたが、こうした経験をもっと日本の子供たちにも伝えたいと思い、現在は教職を目指し研究に励んでいます。将来もっと多くの人が、乾燥地で働く意義と魅力を感じるようになってくれれば嬉しいです。

【教授の声】

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農学研究科(乾燥地研究センター)
辻本 壽教授

学部から若手研究者まで一貫教育

 世界の乾燥地帯には約20億人が暮らし、その多くが不安定な生活を強いられている。また、近年はオーストラリアをはじめ穀物生産国で干ばつが発生し、穀物価格の高騰も起きている。乾燥地の問題は日本とも深くかかわっているが、その多くは開発途上国にあるため、日本は高度な技術を生かした貢献が求められている。鳥取大学農学部は、前身の鳥取高等農学校の浜坂砂丘試験地の開設から90年間にわたり、砂丘地と乾燥地研究に取り組んできた。1990年には、乾燥地科学の日本唯一の全国共同利用施設として「乾燥地研究センター」が設置され、乾燥地について幅広く学べる体制となっている。
 「乾燥地に取り組むためには、乾燥地に関する『知力』、問題解決のための『実践力』、過酷な環境で行動できる『気力』と『体力』、そして現地の意見を集め発信できる『コミュニケーション力』が必要だ」と分子育種学などを教える辻本壽教授は語る。この5つの「人間力」を持つ人材育成のため、学部から修士・博士課程、さらに若手研究者までを対象に、一貫した専門家育成プログラムを用意している。 農学部では海外実習や語学の集中教育を通じて、国際人材を養成する。修士課程では「若手研究者インターナショナルトレーニングプログラム(ITP)」などで院生を外国の乾燥地に派遣し、コースワークと修論研究を現地で行っている。博士課程では島根大、山口大と「連合農学研究科」を組んでおり、日本人学生のほか、海外の乾燥地からの留学生を多く受け入れている。さらに「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」を通して、大学の若手教員や研究員の育成にも注力している。
 フィールドワークで行く地域は、チュニジア、エジプト、中国、モンゴル、メキシコ、タイ、イタリア、アメリカなど世界各地に広がっている。 留学生も多く、日常的に英語を使う機会があるのも魅力の一つだ。辻本教授の研究室では、助教がスーダン人のため、学部生も日常的に英語を話す雰囲気になっているという。 また鳥取という立地も、乾燥地研究をする人材育成に役立っている。「専門を深めるにつれて、内向きで近視眼的な考え方をするようになりやすい。自分の研究を冷静に把握しつつ、自由でダイナミックな発想をするうえで、山も海も湖も砂丘もあり、自然のテーマパークのような鳥取大学は理想的な場だ。また、科学の進歩のためには学生には教員を追い抜く気概を持ってほしいが、学生が主体的に活動できる場をここでつくろうと努めている」。
 学部生の多くは大学院に進学し、修士の修了生は農林漁業や製造業のほか、国際開発関係にも就職している。博士の修了生は、乾燥地研究の第一線で活躍しており、世界の乾燥地科学において鳥取大学の知名度はきわめて高い。
「私自身はかつて農学部の植物育種学研究室に勤め、食糧問題や乾燥地問題などを講義していた。しかし現場で真に役立つ技術開発に自分の力を使いたいと思い、品種開発に取り組み始めた。学生も現地の人と向き合い、人々の幸せのため働く人になってほしい」と辻本教授は現場への思いを語る。

【Point】

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世界の乾燥地研究機関と連携 現場経験の機会を提供

 同学ではITPなどを通し、世界の研究機関と連携している。日本では高度な科学力を使った開発、海外の現場ではその評価、という形で互いに補完関係にある。国連の国際乾燥地農業研究センター(シリア)※では主に分子育種や水・土壌保全、環境修復などを中心に、寒区旱区環境工学研究所(中国)では砂漠化した土地の修復を中心に、砂漠研究所(アメリカ)および気象水文研究所(モンゴル)では風送ダスト(黄砂)の研究を中心に取り組んでいる。学生は、さまざまな研究者と触れることで刺激を受け、帰国後、見違えるような人材になっているという。 ※シリアでは内戦のため、現在は交流を中止している

【スキルを身に付ける】

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現場での 問題解決能力を養成

 先に挙げた5つの「人間力」を身に付けるためのカリキュラムの中心になるのは、やはり海外で行われるフィールドワークである。学部では1カ月間の「国際乾燥地農学実習」を設け、メキシコまたはタイでフィールドワークを行う。これは選択科目だが、コース学生の約8割が、この実習に参加するという。より多くの学生が参加できるよう、外部の資金による費用面の支援も行われる。大学院生向けには、若手研究者インターナショナルトレーニングプログラム「乾燥地における統合的資源管理のための人材育成」、グローバルCOEプログラム「乾燥地科学拠点の世界展開」などを通して、海外の研究機関と連携を図り、フィールドワークに参加できるようにしている。前者は今年度で終了し、後者は昨年度終了したが、現在これらに続くプログラムを検討中だ。 フィールドワークでは、現地を含めさまざまな国籍の人と関わる機会があるが、「5つの『人間力』に加え、そこでは問題解決能力、自主性、協調性、国際性が養われる」と辻本教授は語る。
 また、国内でも現場に近い環境で研究ができるよう、設備が整っている。乾燥地研究センターには、砂漠の気候を再現する「デザートシミュレーター」や遺伝子組換え植物を栽培できる隔離温室などの施設のほか、塩類動態システムや人工降雨システムなど、ユニークな設備が揃う。加えて、広大な実験圃場や林もあり、こうした施設を利用し、学生の教育が行われている。また乾燥地研究センターには、共同研究拠点であるため国内外から研究者が集まる。こうした環境のなかで、学生は大いに刺激を受け、モチベーションを高めることができる。

数多くのフィールドワーク
世界のさまざまな研究機関と連携しており、学部から修士・博士、また若手教員向けまで、さまざまなフィールドワークの機会が用意されている。

乾燥地研究センター
国内においても、乾燥地の高度な研究ができるよう、さまざまな設備があり、学部生から利用可能。

【School Data】
取得可能な学位:修士(農学)、博士(農学)
定員:修士課程(国際乾燥地科学専攻)15人 博士課程(連合農学研究科国際乾燥地科学専攻)3人
主な進路:開発コンサルティング企業、食品会社、化学/薬品会社、種苗会社、公務員など

【Access】
〒680-8550 鳥取市湖山町南4丁目101
TEL 0857-31-5343 FAX 0857-31-5347
E-mail ag-syomu@adm.tottori-u.ac.jp
URL http://rendai.muses.tottori-u.ac.jp/
交通 JR鳥取大学前駅から徒歩3分、JR鳥取駅からタクシーで約15分

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筑波大学大学院 ビジネス科学研究科/国際経営プロフェッショナル専攻

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世界最高レベルのMBA教育

【学生の声】

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ビジネス科学研究科・国際経営プロフェッショナル専攻 山田 裕一さん  

 大学卒業後に国内の食品メーカーで経営企画や外資系医薬品メーカーで経理などの業務を経験しました。キャリアを重ねていくうちに、マネジメント能力が求められるようになっていったのです。  
 そんな私がここを選んだ理由は、あくまで実業志向のカリキュラムが組まれており、他のMBAコースにはない魅力を感じたからです。平日夜間と土曜日に授業が行われていることなど、仕事をしながら集中して学べる環境が整っていたことも大きな魅力でした。そして何より家族の理解と支援が得られたことが学業を継続していく力になっています。  
 講義はすべて英語で行われているため苦労を伴うことも多いのですが、国際的な視点に立ったビジネスとアカデミックの融合こそ、これから時代に求められる本物のスキルではないでしょうか。

【教授の声】

tsukubaprof
ビジネス科学研究科 国際経営プロフェッショナル専攻 大野 忠士教授

グローバルリーダーを育成

 民間企業が持つ技術やノウハウ、あるいは経済活動そのものが、開発途上国や新興国が抱える開発課題の解決に大きく貢献するという認識が広く共有されるようになっている。また現在、日本経済の復興、発展・成長のためには、国際的に活躍するグローバル人材を育成する必要性が指摘されている。 こうした中で、急速に変化する経営環境に対応するグローバルリーダーを育成するため、2005年にMBA(経営学修士)取得を目指す専門職大学院として設置されたのが国際経営プロフェッショナル専攻だ。 同専攻でファイナンスやマクロ経済学を教える大野忠士教授は「国際的にも最高水準のMBA教育を提供するため、専任教授の約4割は外国籍で、日本人教授も含めその全員がさまざまな分野で豊富な研究や国際的なビジネス経験を持っているほか、海外の有名ビジネススクールから毎年10人ほど講師を招へいし、集中講義を行っています」という。また、学生の2割ほどがさまざまなバックグラウンドを持った留学生であり、授業も100%英語で行われている。
 カリキュラムは、ビジネススクールの基盤である「組織経営」と「事業戦略」に加え、本プログラムの特徴である「国際対応」「応用情報」の4領域で構成。国際対応領域では国際ビジネスに必要な法的知識や国際金融市場の動向、異文化理解や多国籍組織のマネジメントなどを、応用情報領域ではデータ分析や市場調査をする際に必要な数学や統計学、プロジェクトマネージメントなどを学ぶ。こうしたカリキュラムを通じて育てる人材像は、リアルな世界で活躍できるリーダーだ。
「国際協力の世界でもビジネスの世界でも、本当に役立つスキルがなければ何もできない。“心温かい人”というだけでは、貧困削減や社会経済の発展に貢献することはできない」と大野教授は指摘する。  
 また、国際経営プロフェッショナル専攻では、テレビ会議システムを通じて海外のビジネススクールとの連携講義を開講。これまでにインドネシア大学、フランスのグルノーブル大学の教員や学生らとディスカッションやグループワークを行ってきた。 「ただ単に世界最高水準のMBA教育ということではなく、実践力を養うことに大きな比重を置いた特色あるカリキュラムが用意されています」と大野教授。「異文化環境に積極的に身を置き、本当の実力を養いたいと考える人に来てほしい」と話す。  開講から8年目を迎え、国際経営プロフェッショナル専攻の修了生は現在、世界中の民間企業や公的機関、NGO・NPOなどで活躍している。  学生はこうした機会を通じて異文化対応能力を身に付けていく。さらに同専攻では、最終学期の3カ月間、ビジネスプロジェクトとして国内外でのインターンシップや論文作成にも取り組んでいる。

【Point】

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IRCでさらなる実践力を磨く 2010年に初出場初優勝

 国際経営プロフェッショナル専攻で学ぶ学生でチームを構成し、2010年から「CFAインスティチュート・リサーチ・チャレンジ(IRC)」へ参加。この年、国内大会で初出場・初優勝という快挙を達成している。  
 IRCは、米国に本部を置く国際的な証券アナリスト協会であるCFA協会が次世代のアナリストを育成することを目的に毎年開催。学生チームが証券アナリストやファンドマネージャーの指導の下、企業評価を行い、その調査・分析能力を競うというものだ。IRCに出場する学生にとって、常日ごろ学ぶ金融や経済の理論、分析技法、プレゼンテーション能力に磨きをかける貴重な機会となっている。

【スキルを身に付ける】

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知識をスキルに! 国際交渉力強化プログラム

 グローバル化した現代社会では、世界の人々が共生できる持続可能な環境と社会・経済開発を実現していかなければならない。そのために必要なのは、さまざまな利害や価値観が複雑に絡み合う場で通用する国際交渉力を持ったリーダーの育成である。 こうした背景から、2011年に新たに開始されたのが国際交渉力強化プログラム(GNP)だ。  
 ここでいう国際交渉力とは、国際的な交渉や対話の場でリーダーシップを発揮し、合意を形成しながら問題を解決していく実践的な能力のこと。MBAで学んだ専門知識を実際の仕事で生かすために必須な能力でもある。 GNPはビジネス科学研究科のほか、人文社会科学研究科と人間総合科学研究科の3学科共同プログラムとして実施。共通必修科目として「戦略的交渉論」が設定されているほか、3学科群で計18もの特色ある選択必修科目が用意されている。こうした講義に加え、さらにGNPを魅力的なものとしているのがプロジェクト実習科目だ。例えば国際ビジネス系の実習では、毎年、政府開発援助(ODA)の現地調査を行っている。この調査では、貧しい人を助けるといった開発援助のポジティブな面だけでなく、効率性や戦略性の不足といったネガティブな面も見つけてもらい、それをビジネス的な視点から改善策を考えていく中で、知識と実践をつなげ、スキルとして身に付ける場となっている。  
 「学生たちにクールヘッドとウォームハートの両方を持ち合わせることの重要性に気付いてほしい」というのが、この現地調査の最大の狙いだ。

サーティフィケイトを授与 このプログラムを追加履修することで、MBAに加え、国際交渉力に関する課程を修了したことを証明するサーティフィケイトが授与される。

eラーニングシステムを活用 選択必修科目を中心にeラーニングシステムを最大限活用。時間的・空間的な制約の多い社会人学生に学習しやすい環境を提供している。

【School Data】
取得可能な学位:修士(国際経営学)(専門職)
定員:30人
開講形態:平日夜間、土日
奨学金:なし(ただし授業料減免制度あり)
主な進路:大半が所属先の会社・機関で継続して勤務(メーカー、証券、保険、国家公務員、大使館など)

【Access】
〒112-0012 東京都文京区大塚3-29-1
TEL 03-3942-6918  FAX 03-3942-6835
E-mail inquiry07@mbaib.gsbs.tsukuba.ac.jp
URL http://www.mbaib.gsbs.tsukuba.ac.jp/index_j.html
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