国際開発ジャーナル


2020.03.01

PROJECT FOCUS コスタリカ

<有償資金協力>

純国産資源を利用したエネルギーの自給自足を支援する
~安定したベースロード電源となる地熱発電の開発~


 

コスタリカ
グアナカステ地熱開発セクターローン(ラス・パイラスⅡ)

 

コンサルティング:西日本技術開発(株)
蒸気タービン製造:三菱日立パワーシステムズ(株)

 
経済成長に伴う電力需要の急増

 コスタリカ共和国は中米に位置し、人口約499万人、面積は九州と四国を合せた程度(約5万1,000km2)の小さな国である。中米で最も安定した民主主義国で、経済も2010年以降概ね3~5%程度の安定的な成長を続けている。 経済成長に伴い、年間電力需要は2000年~2009年の間で年平均5%の伸び率を示し、2020年にはおよそ15TWhに達すると見込まれていた。一方、環境立国として、2014年までに供給電力の95%を再生可能エネルギーで賄う事を目標としていたが、電源構成の約70%は水力発電であり、旱魃期に電力不足が発生する問題を抱えていた。こうしたことから、同国政府はグアナカステ県における地熱発電の計画を策定し、わが国に協力を要請した。協力準備調査を経て、 両国政府は「グアナカステ地熱開発セクターローン」にかかる協力協定を結び、本「ラス・パイラスII」地熱発電所建設事業がサブプロジェクトとしての最初の円借款プロジェクトとなった。

地熱発電のメリット

 地熱発電は、地下資源開発のリスクや開発期間の長さから、ポテンシャルはあっても開発はさほど進んでいない。しかし、地熱は再生可能エネルギーの中でも風力や太陽光と異なり天候に左右されない特長があり、電力の安定供給が可能なベースロード電源となる。また、火力発電と比べると燃料が不要である。さらに、資源の調査・開発や建設工事において国内で比較的大きな雇用を創出する。こうしたメリットに加え、推定地熱発電ポテンシャル約865MWに対して、まだ既開発分が159MWと大きな開発余地が残されていることから再生可能エネルギーとして、同国では地熱開発への期待は大きかった。

コスタリカの地熱発電開発への継続的なコンサルティング

 本事業は、首都サンホセから西に240km程離れたグアナカステ県リベリア郡にある。発電所はプラント性能試験を終え2019年7月23日に営業運転を開始した。当社は同国の地熱発電事業に関わりが深く、初の地熱発電事業「ミラバジェス地熱発電事業(円借款)」に続いて、本事業でも2013年の協力準備調査の段階から携わっている。地熱発電プロジェクトでは、目に見えない地下の地熱資源を適切に評価する事が重要である。当社は東南アジアやアフリカ、中南米などで多くの実績があり、本事業でも地熱資源の評価から発電所の規模の決定、環境影響評価、詳細設計、更には発電所建設まで一貫したコンサルティングサービスを実施した。

日本の地熱発電の技術

 地熱発電所において、その心臓部と言える地熱発電用蒸気タービンは、日本のメーカー3社で全世界の約7割のシェアを占めている。本事業においても、三菱日立パワーシステムズ(MHPS)社製の蒸気タービンが使用されている。今回納入された同社の出力55MW の蒸気タービン(シングルフラッシュ、ダブルフロー、上方排気)を中核とした「ラス・パイラスⅡ発電所」建設事業によって、事業実施機関であるコスタリカ国営電力公社は中南米での「ベスト地熱プロジェクト賞」を受賞している。途上国での地熱発電プロジェクトを支援することは、CO2排出量の抑制、SDGs(持続可能な開発目標)の達成へ寄与するとともに、わが国の質の高いインフラを海外へ輸出する事にもなっている。

 
寄稿:西日本技術開発(株)東京事務所 所長 南坊 進二
               同   課長 増中 理恵
『国際開発ジャーナル』2020年3月号掲載