国際開発ジャーナル


2020.02.01

PROJECT FOCUS キリバス

<無償資金協力>

首都圏の幹線道路を気候変動の高潮から守る


 

キリバス
ニッポン・コーズウェイ改修計画

 

コンサルティング:(株)建設技研インターナショナル、(株)Ides
施設建設:大日本土木(株)

 

 太平洋の中央部に位置するキリバスは、33の島嶼と環礁によって成り立っている。そのうち、同国唯一の国際港を擁するベシオ島と、行政機関の本庁があるバイリキ島は、首都タラワの一部であり経済活動の拠点である。この2島を結ぶのが、わが国の無償資金協力によって1987年に建設された幹線道路「ニッポン・コーズウェイ」だ。活発な人の往来や流通を支えてきたこの道路も、老朽化に加えて、気候変動による高潮の影響でたびたび護岸が崩壊し、通行に支障が出ていた。補修費用も大きな負担となっていた。2014年にキリバス政府から無償資金協力要請があり、国際協力機構(JICA)は、まず2015年5月から約1年間、キリバスに協力準備調査団を派遣。護岸および橋梁の補修・補強方法、自然条件、交通量などの調査に加えて、エルニーニョ現象や将来の気候変動による海面上昇を考慮した潮位を設定し、道路や護岸の設計に生かした。道路の舗装には、最も経済的なアスファルトを使用している。2017 年に着工した本事業は、第7回太平洋・島サミットで日本政府が支援を表明した「防災」に資する面もある。2019年4月17日に完工を迎え、キリバスのターネス・マーマウ大統領を迎えて引渡式が行われた。これまで、ニッポン・コーズウェイは護岸崩壊の補修工事のたびに交通規制(片側交互通行)を行わざるをえず、円滑な交通を妨げる一因となっていたが、護岸や道路を全面的に改修したことにより、今後は交通規制が必要なくなる見込みだ。試算によれば、平均走行速度も約2倍に上がり、首都圏住民の安全かつ円滑な走行が確保されるという。護岸の補修費用も、従来の10分の1以下まで減ると期待されている。

 
『国際開発ジャーナル』2020年2月号掲載