国際開発ジャーナル特集


2018.11.01

スポーツを通じた民族融和で平和促進を

写真:民族の垣根なく共に競技を行う青年たち(JICA提供)


(株)JINは、2011年に独立を果たしながらも民族間紛争が続く南スーダンで、15年からスポーツを通じた平和促進に携わっている。現在取り組んでいるのは、民族融和を促すことを目的とした全国スポーツ大会の開催に向けた協力だ。同社の取り組みとして、国民に寄り添った支援を重視し活動を進めている

南スーダン国民としての結束を

同社は2015年7月~17年3月、スポーツを通じた平和構築のための基礎情報収集確認調査を実施したほか、17年10月から18年11月までの予定で個別専門家を派遣している(ただし現在は、治安上の理由によりウガンダおよび日本から遠隔で支援している)。

南スーダンは、独立後の2013年に民族紛争が再燃した。15年に「南スーダンにおける衝突の解決に関する合意」(衝突解決合意)が締結され、暫定政府が設立されたものの、民族間の不信感が払しょくされずにいた。

そこで同国の文化・青年・スポーツ省は、全ての民族が南スーダン国民として結束できるよう、全国から選手を集めたスポーツ大会を開催したいと国際協力機構(JICA)に協力を依頼した。その思いに賛同したJICAは、全国スポーツ大会「国民結束の日」の開催に向けた協力を開始。第1回大会が2016年に首都ジュバで開かれ、以降、毎年開催されている。

経験重ね運営能力も向上

文化・青年・スポーツ省の職員らにとって、全国規模のスポーツ大会の企画・運営は初めての経験だった。これまで関わりのなかった各州の行政とも連携しつつ、試行錯誤しながら運営準備を進め、第1回大会の開催を実現させた。

その後も、経験を重ねるごとに現地の運営能力は向上した。翌年の第2回大会では、治安悪化により日本人が現地から退避し、遠隔からの支援となっていたが、大会運営を現地の行政官が中心となって進めたことで、結果的に彼らの主体性が向上した。

その後も、経験を重ねるごとに現地の運営能力は向上した。翌年の第2回大会では、治安悪化により日本人が現地から退避し、遠隔からの支援となっていたが、大会運営を現地の行政官が中心となって進めたことで、結果的に彼らの主体性が向上した。

2018年の第3回大会では、公平かつ包括的な実施を目指し、女子が参加する競技が増え、平和・社会問題に関する啓発セミナー、文化交流行事なども行われた。また、スポーツを含む一連のイベントが平和の促進に結びついたか、事業効果を測定する調査も実施された。

国民結束の日では、選手たちが入場する姿を見て涙する政府高官がいた。それほど、異なる民族同士が共にスポーツに汗を流し、レフェリーや観客も含め、みなが同じ時間を共有し交流することは、この国では困難なことだったのだ。大会後に実施した調査では、「何が平和について考える機会になったか」との質問に対し、選手から「一緒に合宿生活を過ごすことで民族の違いを超えた交流が生まれたこと」という回答も得られた。

平等公平に行う枠組み作り

現在、2019年の開催に向けた準備が進められている。スポーツは人を引き寄せる力があるが、一過性のもの。同社が大会の開催を通じて目指しているのは、単なるスポーツ交流だけでなく、チームとして団結する、選手を公平に選考する、女性の社会参加を促進する、といった枠組みを大会運営の中で作り上げていくことだ。

平和に向けた民族融和のための交流をスポーツと掛け合わせて、付加価値を高めることで、同国での平和の定着を目指していく。

『国際開発ジャーナル』2018年11月号 分野別特集「平和構築」掲載
#JIN #平和構築 #文化・スポーツ #アフリカ #南スーダン