国際開発ジャーナル


2020.05.01

PROJECT FOCUS パラグアイ

<有償資金協力>

幹線道路の整備を長期にわたり支援 基幹産業の農業を支える


 

パラグアイ
道路整備事業(Ⅱ)

 

コンサルティング:セントラルコンサルタント(株)

 
長年にわたる友好と支援

 南米大陸の中央部に位置するパラグアイは、地球の反対側にありながら日本とは縁が深く、1万人を超える日本人移住者とその子孫が暮らしている。こうした日系移民は主に農業で同国の発展に大きく貢献してきたことから、現地では日本と日本人に高い評価と信頼が寄せられている。同国は農業を基幹産業としており、2016年には大豆の生産量で世界第6位を記録している。一方で、同国経済は農作物の生産状況と国際価格に大きく左右される脆弱性があるほか、農村地域を中心に貧富の差が大きく、経済・社会インフラの整備も進んでいない。国際協力機構(JICA)は40年以上にわたり、貧困層の生計向上やインフラ拡充といった支援を続けており、19年11月には同国政府からその貢献を認められ、JICAの北岡伸一理事長に国家功労賞(大十字勲章)が授与された。

1,000k m近い道路を整備

 パラグアイでは1980年代の10年間に自動車台数が4倍、貿易量は3倍に増加した。だが、この間に物資輸送の中心インフラである道路網は整備が進まず、同国経済を支える農産物の生産や輸出の深刻な足枷となっていた。このような状況下、海外経済協力基金(OECF:現JICA)は「道路整備事業(Ⅰ)」(1990年7月L/A調印、96年完了)に約97億円の円借款を供与した。これによって、約360kmの道路が再舗装された。しかし、この時点においても、同国の道路の総延長5万9,000kmのうち、舗装されている区間は全体の5%に届かなかった。主要な幹線国道でさえ全体の12%しか舗装されておらず、主要産業である農畜産物の輸送にも時間がかかり、コストの上昇を招いていた。輸送の中心インフラである道路の整備は農産物輸出の円滑化や農村地域の収入の安定化の面からも不可欠だった。一方、同国政府と国際協力事業団(JICAの前身)はこれと並行して「輸送システム開発のためのマスタープラン」を92年に策定した。これ以降はこのマスタープランによって同国の道路網整備が進められており、「道路整備事業(Ⅰ)」完了後の98年に、それに続く円借款事業「道路整備事業(Ⅱ)」(約190億円)が調印された。このプロジェクト(Ⅱ)では、主に首都アスンシオンへとつながる東部中央地区の幹線道路(総延長約617km)の整備を進めている。首都と直結する国道1号線と東部地域を縦断する国道8号線とを結ぶ総延長121.1kmの新道路の建設と、総延長496kmの国道5路線において、道路の劣化部分を再舗装し、国道1号線に架かる既存橋梁を拡幅した。

農業部門への多面的支援

 このほか、同国には無償資金協力による橋梁建設や道路建設機材の供与も実施されている。このような道路整備事業により交通の円滑化が進んだことで、農産物の輸出や主要消費地への輸送も活性化した。さらに本事業と併せて、同国の小規模農家のために農道や用水施設を整備したり、現地の金融機関を通じて設備投資資金をツーステップローンで供与したりする「農業部門強化事業(Ⅱ)」(1998年L/A調印、貸付額155億円)も行われている。これらの日本の支援は、同国の農業の発展と農家の収入向上に大きな貢献を果たしている。

 
『国際開発ジャーナル』2020年5月号掲載