国際開発ジャーナル


2020.04.01

PROJECT FOCUS ミャンマー

写真:1全工事パッケージ合同安全協議会による作業船安全検査、2防波堤工事の完成試験、3日越友好のプロジェクトモニュメント、4法政大学国際政治学科学生による現場視察

<有償資金協力(円借款)>

日本の総力を集めた日越初の官民連携事業


 

ベトナム
ラックフェン国際港インフラ建設事業(港湾)

 

コンサルティング:日本工営(株),(株)日本港湾コンサルタント,PORTCOAST CONSULTANT CORPORATION,Nippon Koei Vietnam International Co., Ltd.

 
ベトナムの友人からの打診

 ベトナム北部最大の港湾都市ハイフォン市。その中でも貿易の玄関口を担うハイフォン港では、これまでも円借款事業によって土砂流入による航路埋没の改善などを支援してきた。しかし、同国の著しい経済成長に伴って、貨物需要の大幅な増加が見込まれていた。これを受けて、ベトナム国運輸省では北部地域初となる大水深港の建設が検討され、複数候補地から最終的にハイフォン港沖合のラックフェン地区が選定された。このラックフェン国際港開発に 対して、ベトナム側から日本による継続支援の可能性について問い合わせを受け、最初に(株)国際協力銀行(JBIC)ベトナム事務所に照会が行われた。その後、幾つかのアイデアの中から、日系企業による港湾運営事業権利取得を視野に、(独)日本貿易振興機構(JETRO)の開発途上国民活事業環境整備支援事業実現可能性調査(2007年)を経て、国際協力機構(JICA)による準備調査(2010年)、連携DD(2011-2013年)が実施された。

日本の技術を活用

 この「ラックフェン国際港インフラ建設事業」は、日越両国における戦略的パートナーシップの下、JICAの円借款を活用した日越間で初となる官民連携事業だ。具体的には連絡橋・アクセス道路事業、ならびに港湾関連インフラ 事業への支援を行ってきた。港湾建設においては、上下分離方式によって官民で工事の分担が行われた。官側(下部)では、コンテナターミナル用地を対象とした「埋立・地盤改良工事(PK6)」、コンテナ船10万DWT級の船舶受 け入れを可能とする「航路浚渫工事(PK8/PK9)」、「防波堤・防砂堤工事(PK10)」が実施された。これらの工事では本邦技術活用条件(STEP)が適用され、①深層混合処理工法による地盤改良、②鋼管矢板護岸、③航路浚渫では日本の 大型浚渫船などが採用された。一方、民間側(上部)では、ベトナム、日本(商船三井、伊藤忠商事)、台湾の日越台による合弁会社「ハイフォン・インターナショナル・コンテナターミナル(HICT)」により桟橋やコンテナヤード、上屋などの建設と荷役クレーンの調達が行われた。これらにも岸壁用ガントリークレーン、コンテナヤード用トランスファークレーン(環境配慮型)などの本邦技術が採用されている。

安全対策にも注力

 今回の建設工事では、海上作業が多く、特に一般船舶と工事用作業船による航路上の海上衝突事故が懸念された。ピーク時では、官側だけでも1日あたり200隻を超える海上作業船が狭い海域を輻輳するような状況だ。そこで、安全対策には十分注意を払いながら工事を進めてきた。例えば、建設工事に従事する施工業者に対しては、海上工事の安全に関する越国法令と規則に従い、海上作業安全対策が義務付けられていた。また、各施工業者による作業船運航管理においては、航路運用上の安全航行を担う港湾局、航路を管理する越国海上安全局などと情報交換を行い、全ての工事パッケージによる「合同安全協議会」や民間側を含めた「連絡調整会議」を通じた海上作業の安全管理が行われた。これらを経て、同港は2018年5月13日に運用が開始された。ラックフェン港の継続開発とベトナムの益々の発展を期待したい。

 

寄稿:日本工営(株)ラックフェン港インフラ整備事業施工監理開発事務所所長 水谷 聖
『国際開発ジャーナル』2020年4月号掲載