国際開発ジャーナル


2019.02.01

NEWS&TOPICS 新しい形の社会課題解決を模索

ラボの運営にあたるKRCの関口洋介氏(左)と山本侑氏(右)

 

コーエイリサーチ&コンサルティング

―「KRCソーシャル・イノベーション・ラボ」を設立

 

(株)コーエイリサーチ&コンサルティング(KRC)は2018年11月30日、新しい社内組織として「KRCソーシャル・イノベーション・ラボ」を設立した(Webサイトhttps://www.k-rc.co.jp/sil)。
これまでの開発途上国支援とは異なる、社会課題の解決方法を探るプラットフォームとしての役割が期待されている。

 

イノベーション創出のハブに

 モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)、ビッグデータなどの革新的技術の普及が、開発途上国でも急速に広まっている。こうした中、開発コンサルタントにも新しい技術の活用や従来の枠にとらわれない提案が求められるようになっている。KRCは、開発途上国の現場で活動する社員が普段から抱いている問題意識やアイデアの中に、国際開発分野に期待される革新的な社会課題解決へのヒントが隠されていると考え、社内に「KRCソーシャル・イノベーション・ラボ」を設立した。社員が培ってきた知見や問題意識を起点として、社員自らが主体となり革新的なアイデアで開発途上国の社会課題を解決していくのが、ラボのねらいだ。ラボでは、AIなどを含むコア技術の研究開発を担う中央研究所(茨城県つくば市)を含む日本工営グループのリソースと、国内外のネットワークを最大限活用しながら、イノベーションの実証・普及に取り組む。分野・業種を問わずさまざまな企業や研究機関、自治体、NGO/NPOと積極的に連携し、国際開発分野におけるイノベーション創出のハブを目指す。これらを持続的な活動とするため、社会への啓発や当該国政府への働き掛けを通じた新しい法律や制度の導入・改革を含むあらゆる手段を通じて、社会の仕組みそのものの変革にも取り組む予定だ。ラボのアドバイザーでもある岡本哲朗会長は、「社員の多くは開発途上国の発展に貢献したいという志を持ち開発コンサルタントになった。だが、今後は政府開発援助(ODA)のみがその志を果たす選択肢ではなくなってくるだろう。そうした未来を見据えてチャレンジしていく必要がある」と語る。

 

社内の組織風土改革の契機に

 KRCは、ラボの設置をきっかけに、これまでどうしても受け身になりがちであった開発コンサルタントの仕事への向き合い方にも一石を投じたいと考えている。ODAの枠組みや従来の発想にとらわれない社会課題解決のアイデアを積極的に検討することで、社員のモチベーション向上を図り、主体的に挑戦していけるような企業風土の形成を目指すのだ。
 そうした環境づくりを通して、KRCは開発コンサルタント一人一人の能力向上も図っていく。特に重要視するのが、持続可能な開発目標(SDGs)を契機に途上国支援の資金の流れが公的機関から民間へとシフトしつつある中で、付加価値の高いコンサルティングサービスを提供できる人材の育成だ。
 同社の神山雅之社長は、「次世代を担う社員のモチベーションを向上させ、自ら成長できる場を作ることが、会社の業績にも影響してくる」と述べた上で、「若手人材の活性化は開発コンサルティング業界全体の活性化にもつながるはず」とも、期待を込めて語った。

『国際開発ジャーナル』2019年2月号掲載