近畿」カテゴリーアーカイブ

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【大学の国際化最前線】立命館大学 教学部・国際部・キャリアセンター

キャリア形成支援を通じたグローバル人材養成プログラム

【実践的産学連携を通じた人材育成プログラム】

 グローバル化が進んで国境を越えたヒト・モノ・カネの動きが活発になり、日本企業の海外進出も本格化する中で、世界を舞台に活躍できる人材の必要性が増してきている。立命館大学では、グローバル人材の育成を目的に、2010年から「キャリア形成支援を通じたグローバル人材養成プログラム」を開講。世界中から集まった学生たちが、それぞれの価値観・習慣への理解を深めるとともに、グローバル企業でのインターンシップなどを通じて国際派人材の要素を現場で学んでいくというものだ。今年度は理系文系問わず、学部生と院生双方含め5カ国からの留学生29人と、日本人学生19人が参加している。

 プログラムは「基礎力アセスメント」「自己の探求」「ホスピタリティ特論」「グローバル企業体感プログラム」「企業課題型フィールドワーク」「インターンシッププログラム」の6つから形成。プログラム期間中、ポートフォリオを通じて自己省察を支援している。

 「基礎力アセスメント」はプログラム受講前と受講後の2回実施。事前のアセスメントで学生はそれぞれの課題を把握し学習目標を立て、自らの手で教育プログラムを形成し、受講後にはその成果を評価することでキャリア形成能力を培う。
 「自己の探求」では、日本人学生と外国人留学生がチームになり、それぞれの留学経験や海外在住体験について意見交換を行うことで、グローバルな視野や異文化コミュニケーション能力、チームビルディング能力を身に付ける。
 「ホスピタリティ特論」では、もてなしの心や共生の精神をはじめとした日本のホスピタリティ精神を学ぶとともに、サービス業や製造業におけるケーススタディを通じて、その実像を体感する。

【グローバル企業の現場を肌で実感】

 プログラムの後半は、より実践性が増した内容になっている。「グローバル企業体感プログラム」では、日本企業の海外進出の現場を見学し、日本企業の経営管理の特徴や海外展開の実情を五感で体感する。さらに企業のことをより深く理解するために「企業課題型フィールドワーク PBL:Project-Based-Learning(課題解決型学習)」を実施。企業が抱える現場の課題を見出し、グループワークを通じて解決策を提示する。

 そして、「インターンシッププログラム」では、実際に企業の一員として仕事に取り組むことを通じて、グローバル企業において求められる能力や資質を身に付けるとともに、日本企業の組織特性や仕事に対する価値観、協調性を学ぶ。

 これらに加えて、このプログラムでは就職活動を支援。「就職活動支援企画・講座」を設置して、就職活動を行う際に必要な自己分析、業界・業種研究に加え、エントリーシートの書き方、模擬面接などを行う。ただ受講して終わるのではなく、就職までフォローアップする仕組みが整えられている。

 プログラムを通じて国内外の学生たちからは「日本企業で求められている知識やビジネスマナーを知ることで、社会に出る上での自信がついた」「さまざまな国の友人ができて、就職活動では情報交換などしながら互いに支えあった。プログラムでできた人脈は宝物」「さまざまな国の学生と学ぶことで、お互いのことを理解しようという姿勢や議論を重ねることの重要性を学んだ」といった声が寄せられている。プログラムを通じて、グローバル社会で中心的役割を担う人材が育まれている。

(出典:「国際開発ジャーナル」2011年11月号)

【Access】
衣笠キャンパス
〒603-8577 京都府京都市北区等持院北町56-1
URL http://www.ritsumei.ac.jp/

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【大学の国際化最前線】同志社大学大学院 グローバル・リソース・マネジメント

文理の枠を超え 現場に根差すアプローチを実現

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(文系と理系の学生が協働で、小型風力発電機の組み立てから設置まで行った)

【困難に直面する人々と共に】

 現在、世界では新興国が目覚ましい発展を遂げている一方で、紛争や災害に苦しむ国も多く残されている。そうした国では、インフラ整備が不十分である上、民族・宗教間の対立や貧富の格差など、多様な問題が複雑に絡み合っており、文系か理系どちらかに限られた専門知識では対処が難しい。

 同志社大学は、新興国の若いエネルギーを吸収するとともに、困難に直面する国の人々と共に問題解決を目指す人材を育成するため「グローバル・リソース・マネジメント」(GRM)を2012年度に立ち上げた。これは、学内試験で選ばれた学生が履修できる博士課程前期・後期一貫の5年間の教育プログラムで、グローバル・スタディーズ研究科と理工学研究科が中心となって進めており、文部科学省「博士課程教育リーディング・プログラム」に採択されている。

 プログラム・コーディネーターを務めるグローバル・スタディーズ研究科長の内藤正典教授は、GRMを「文理融合の上に多文化共生を目指す世界初の実践的プログラム」だと強調する。「文系の学生にとって、理系の高度な理論を理解し習得するのは難しい。しかし、GRMでは、学習範囲を途上国開発の現場で求められるインフラ工学や資源工学の知識に限定する代わり、実際に手足を動かしつつ身に付けてもらうよう工夫している」。実際、GRMを履修する学生たちは、文系であっても理系の学生たちと一緒に風力発電システムなど電気工学の基礎を学ぶ。

 他方、理系の学生たちも、将来、中東やアフリカで仕事をする可能性もある。「だからこそ、GRMでは、理系の学生も、こうした紛争地域の現状や危機管理、さらに開発学全般に関する理解を深めてもらう」と内藤教授は語る。

【理念と実践を追求】

 GRMのもう一つの特長は、困難な状況にある人々に寄り添い、共に問題を解決していく「徹底した現場主義」だ。

 同大は、2012年6月にアフガニスタン政府代表やタリバン関係者などを招き、同国の平和構築のための会議を開催するなど、国際問題に実践的なアプローチを続けている。こうした経験を踏まえつつ、GRMでは開発途上国から留学生を積極的に受け入れている。さらに修士課程の学生には月額15万円、博士課程の学生には月額20万円を奨励金として支給し、学生が開発途上国の現場に足を運ぶ後押しをしている。

 「GRMは、同志社大学の理念である『良心教育』を現代の世界においていかに生かすか考えながら創ったプログラム」だと内藤教授は語る。理念と実践性の両方を深く追求する同大学から輩出される人材が、日本の国際開発の世界にどのような変化をもたらすのか、今後の展開が注目される。

(出典:「国際開発ジャーナル」2014年1月号)

【Access】
〒602-8580 京都市上京区今出川通烏丸東入
URL http://grm.doshisha.ac.jp/

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【大学の国際化最前線】三重大学 医学部

国内地域と世界を見据えた医療人材を育成

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(ザンビアで実施された海外臨床実習の様子)

【国際標準を踏まえた教育】

 医療サービスを海外展開したり、外国人患者を受け入れることに対して消極的な医療関係者をはじめ、とかく「内向き」だと言われる日本の医療業界。そんな業界文化に風穴を開ける取り組みが、三重大学医学部で進んでいる。
 同学部は、1980年代から国際協力機構(JICA)の保健医療プロジェクトに数多く関わってきた。そこで培った海外の大学や医療機関とのネットワークを生かし、2007年には海外で診療体験などを行う6年生向けの「海外臨床実習」を、09年には海外の医療プロジェクトを視察する1~4年生向けの「海外早期体験実習」を開始した。前者のプログラムには、これまで累計約400人、後者は約200人以上が参加しており、うち約半数は欧米に、残りの半数はアフリカなど開発途上国へと派遣されている。国際交流担当副学長の堀浩樹教授は、こうした海外実習の狙いについて、「世界に通用する医療人材を育てること」だと指摘する。

 この背景には、グローバル化の進展に伴い、外国で治療を受ける医療ツーリズムの盛り上がりや、医者が海外で医療を行うケースの増加が挙げられる。こうした状況に対応するため、欧米では近年、医学教育の国際標準化や高度化に向けた動きが進んでいる上、新興国や開発途上国の大学でも、欧米などにならって医学教育の強化に取り組んでいる。その一方で、日本では日本語の教科書をベースにした医学教育が行われており、英語の教科書で授業が行われている世界の医学教育に追い付いていないのが現状だ。前出の堀教授は、「海外実習プログラムを通じて世界の医学教育や医療現場の現状に触れることで、学生たちは自分がどんな力を身に付けるべきか、考えるきっかけになる」と話す。

【学生と教員の意識を変える】

 さらに堀教授は、「現在の学生たちは、20~30年後には日本の医療を担う人材になる。彼らの意識を変えることが、将来的に日本の医療業界の変革につながる」とも指摘する。現在、大学院の医学研究科では将来的に現地の医療業界の指導者になる人材との関係を強化するために、アフリカなどから多くの留学生を受け入れているが、彼らの存在は、学生だけでなく教員に対しても、国際化に向けた意識付けを図る良いきっかけになっているようだ。

 医療人材の不足などの問題を抱える日本の地域医療も、開発途上国の医療現場が抱える問題点と多くの共通点があるという。「開発途上国で海外実習を行えば、日本の地域医療の改善につながる知見も得られるはずだ」。

 日本の医療業界の文化は一朝一夕では変わらない。しかし三重大学は、長期的展望の下で着実に歩み続け、変革の風を起こそうとしている。

(出典:「国際開発ジャーナル」2015年9月号)

【Access】
〒514-8507 三重県津市栗真町屋町1577
URL http://www.mie-u.ac.jp/

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【大学の国際化最前線】大阪産業大学

アジア重視の国際化目指す

【留学生の急増に対応】

 大阪鉄道学校を前身とし、1965年に設立された大阪産業大学。ものづくり分野で優れた研究や教育を行っているが、特にソーラーカーの性能を競う国際的なカーレース「FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUPソーラーカーレース鈴鹿」で9回の優勝を飾った実績はよく知られている。

 そんな同大学は、国際化にあたって「アジアに開かれる教育と研究の実践」という方針を打ち出している。人間環境学部の濱崎竜英准教授は、「本学には中国・ベトナムなど、アジアを中心に15カ国の留学生が学んでいる。こうした留学生の動向に応じ、本学としてもアジアに関連した教育や研究を強化していきたい」と語る。

 さらに濱崎准教授は、「大阪の中小企業の中でも、アジアに事業を展開したり、外国人人材を採用しようという動きが活発になっており、国内で就職する日本人学生にもグローバルな視点が求められるようになってきた」と語る。

【地元企業との連携も推進】

 同大学では、中国語や中国文化を学ぶ機関として2007年に大阪産業大学孔子学院を設立するなど、中国との関係強化を積極的に進めてきた。さらに、来年4月に誕生する「国際学部国際学科」では、英語だけではなく中国語やアジアの歴史・文化に関する教育・研究にも注力する方針だ。

 さらに、前出の濱崎准教授によると、「日本人学生の国際的な意識を高めるためには、教員の海外調査に学生を参加させることが効果的」との考えから、教員が積極的に海外に出ていけるよう、大学として教員のバックアップ体制の強化も進めるという。具体的には、今年の4月に新設した「研究教育推進センター」を通じて、文部科学省などからの研究費の獲得を支援したり、研究補助費を適切に配分したりすることで、海外調査も含め、教員の研究活動を後押ししていくという。

 また、同大学は、優れた技術を持つ中小企業が多く集積している地の利を生かし、以前から地元の企業と共同研究などを進めてきた。今後は、国際協力機構(JICA)が実施する「ODAを活用した中小企業等の海外展開支援」なども積極的に活用し、地元の金融機関などとも連携しながら、大阪の企業の海外展開を後押ししていくことにしている。

 文部科学省をはじめ、日本政府がグローバル人材の育成を掲げ、多くの大学が国際化に取り組みしのぎを削る中、大阪産業大学のアジア重視の戦略は、屹立する独自性の確立につながるか。挑戦の行方が注目される。

【Access】
〒574-8530 大阪府大東市中垣内3-1-1
URL http://www.osaka-sandai.ac.jp/

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【大学の国際化最前線】立命館大学大学院 国際関係研究科

国際協力の即戦力となる人材育成プログラム

【国際化の取り組みに高い評価】

 立命館大学大学院国際関係研究科は1992年、国際関係学の研究者や、日本の国際化をリードする人材を養成することを目的として創設。これまでに国連、外務省、NGO、グローバル企業など、国際舞台の最前線に多くの人材を輩出してきた。2003年からは4つの履修プログラム、①民族・宗教紛争やテロ、環境破壊、感染症といったグローバルな課題に、国際社会がどう取り組んでいくかを研究する「グローバル・ガバナンス」、②持続的な開発政策や環境・生態系の保全、人権保護について学ぶ「国際協力開発」、③世界の一体化が進む中で、文化の衝突ではなく文化の共生のために何をすべきかについて考察していく「多文化共生」、④英語のみで修士学位を取得できる「GCP(Global Cooperation Program)」―を設置。多様化する国際協力のニーズに対応し続けている。
 
 同研究科は、海外の高等教育機関や研究所との連携にも積極的だ。たとえば国際関係大学院連合(APSIA)に日本から唯一の正規メンバー校として加盟しており、こうした国際的ネットワークを生かして、4つの大学院で修士号を取得できる「DMDP(Dual Masters Degree Program)」を実施している。

 国際関係研究科ではこれらの取り組みが評価されて、08年度より文科省から「大学院教育改革支援プログラム」に採択されたことを受け、「国際協力の即戦力となる人材育成プログラム」を展開してきた。

【平和構築分野の人材育成を強化】

 このプログラムの目的は、平和構築や開発支援の分野で即戦力として活躍できる専門的人材を育成・輩出することだ。   
 具体的には、以下の6つのプログラムを実施している。①平和構築や開発支援関連のGCP科目および、ネイティブの専任・客員教員による専門科目の拡充、②国際的発信能力強化に向けた、大学院生の英語による論文作成や学会報告・専門誌投稿の支援、③DMDPをはじめとする大学院生の海外留学支援体制の拡充、④現役の国際機関職員やOB、国連など出身の実務家教員を講師とする国際機関ワークショップおよび、JICA、JBIC、JETROの職員を講師とする実践的講義・演習プログラムの拡充、⑤世界銀行や国連などでの平和構築や開発支援を中心とした海外インターンシップの拡充と、大学院生の国際機関への就職支援、⑥ポスト紛争・災害地域などにおける平和構築や復興開発支援などの現場での調査経験を積むことを目的とした新規科目「フィールドリサーチ」の開設―。
 
 このプログラムを通じ、正課外でもさまざまな事業が展開されてきた。たとえば「平和構築キャリアセミナ―」は、国際協力を志す学生にキャリア形成のための有益な情報を提供することを目的として実施。研究機関、国際NGO、マスコミ、政府関連機関など多方面から講師を招き、貴重な話を聞く機会を提供した。また、大学院生の研究成果発信力を強化するために実施した「国際協力合同ワークショップ」では、他大学の優れた若手研究者と互いの研究・関心について議論する場を設けた。「国際カンファレンス」では、学生に国際会議での参加・報告の機会を提供してきた。

 この取り組みは2011年3月に終了した。しかし、プログラムを通じて拡充された国際関係研究科は、今後、立命館大学の国際協力を担っていくことが期待されている。

【Access】

衣笠キャンパス
〒603-8577
京都府京都市北区等持院北町56-1
http://www.ritsumei.ac.jp/gsir/