企業とNGOの連携(キーコーヒー常務取締役 川股一雄 氏)[2008.12.5]

企業独自で行う社会貢献活動もある
35年という歳月を経て生まれる信頼関係

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キーコーヒー株式会社 常務取締役営業本部長
川股一雄 氏

社会貢献としてのトラジャ事業

「トラジャ事業そのものが社会貢献を相当意識したものです」と話すのは、キーコーヒー株式会社の川股一雄さん。

トラジャ事業とは、キーコーヒーがインドネシアのスラウェシ島中部に位置するトラジャ県で行っている「住民栽培」と「パダマラン農場」を柱としたコーヒー栽培事業のこと。「トアルコトラジャ」のブランド名で知られるこの地の良質なコーヒー豆は、実は日本のコーヒーメーカーが育てたものだ。

キーコーヒーが事業の可能性を探るため、この地に初めて調査に入ったのが1973年。それから35年という歳月を経た現在、コーヒー栽培にかかわる人々の生活水準が向上しただけでなく地域全体の経済も大きく発展した。

住民栽培コーヒー事業は、対象地域に住む農家から豆を買い取るというもので、キーコーヒーでは栽培技術の向上を目指しモデル農園を開設。ここでは正しい栽培方法や精選加工技術を普及するとともに、健康な苗木や肥料を無償で配布してきた。こうした取り組みは現在でも継続されており、昨年度は7カ村で農民講習会を開催、計2万2,000本の苗木が配布された。

他方、パダマラン農場事業は、この地にキーコーヒーの直営農場をつくり計画的に良質なコーヒー豆を生産するというもの。この農場ではコーヒーが栽培されているだけでなく、住民栽培コーヒー事業で集買されたコーヒー豆を精選加工する工場もあり、周辺にこれといった産業がない地域で、多くの人々に現金収入の道を開いてきた。

キーコーヒーでは、こうしたトラジヤ事業のほかにも、CSR(企業の社会的責任)の一環として、06年にはパダマラン農場の中に「ワールドPCステーション」を開設している。これは「これからの時代、パソコンぐらい使えないと就職は難しい」との地元の声に応えたもので、周辺の住民や子どもたちに施設を開放。近隣の小中学生が授業で訪れるなど、年間約1,800人が利用している。

また、このPCステーション以外にも、無電化の村に小規模な水力発電設備を提供したり、住民らのアクセス道路や橋など、生活インフラの整備をしたりと、キーコーヒーがこれまでの35年間で行ってきた社会貢献活動の例を挙げればきりがない。

理念の押し付けではいけない

これまでキーコーヒーはこうした活動を独自で行ってきた。
川俣氏は、「そもそも30数年前には、お願いしたくてもこの地で活動するNGOはいませんでした」と証言する。必要に迫られた結果、この地に派遣されたキーコーヒーの社員が地元住民らと力を合わせて取り組んできたというのが実情だ。そして現在では、トラジャに赴任した経験を持つ社員も増え、言語、文化・習慣、宗教的背景など、この地のことならどの日本人よりも理解し、また現地での信頼も得ている。ある意味、この地に派遣されたキーコーヒーの社員一人ひとりが、NGOスタッフのようなものなのかもしれない。

それでもNGOとの連携の可能性について川股氏は、「もちろん、私たちにはないスキルを持つNGOはたくさんあります。そうしたNGOと連携し、あらたな社会貢献活動を展開して行きたいとも考えています」と話す。ただその際には、キーコーヒーの事業理念や社会貢献活動の目的など、それを正しく理解し賛同してくれることが必須条件のようだ。

川股氏は、企業側がNGOの理念に合わせたり、またNGO側が企業の理念にあわせたりするのではなく、ちょうど互いが一致する関係でないと、企業とNGOの連携はうまくいかないと指摘する。しかし残念ながら、そうしたパートナーを見つけるための情報や機会は、まだまだ少ないのが日本の現状ではないかと話していた。

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